3話 修正あり ページ3
連絡がとれなくなった、あの頃のとあるクラスメート。消息不明と騒がれるほどに何も残さず消えた彼女。そりゃあ、もう毎日寝不足になるんじゃないかってほど探したし、彼女の無事を祈り続けた。
僕らがここまで必死になるのは、彼女が大切なクラスメートだからといってしまえばそこまでだ。
でも、そうじゃない。彼女、黒咲 憂奈には僕たちをここまで動かすほど魅力的でとても大きな存在だった。
無愛想にみえて、実は結構感情豊かなとことか、どうでも良さそうにしてるしてるわりには周りのことばっか考えてて。ほんとはものすごく優しいとことか、笑顔がかわいいとことか。
全部ひっくるめて、みんな憂奈のこと大好きなんだ。だけど、そんな大切で仕方のない彼女を見つけることは叶わなかった。
それから数年がたったある日。月に何回か集まって旧校舎の掃除へと椚ヶ丘中学校に足を運んだ。珍しくカルマや茅野も来ることができて、憂奈がいれば全員揃ったのに、なんて落ち込んで。
いつしかみんな、憂奈との思い出話に花を咲かせた。さっきまでの雰囲気が嘘みたいに明るくて。。
「そういやー、岡島はしょっちゅうゆーなのパンツ見ようとして回し蹴りくらってたよなｯ！！」
「はぁ！？それはお前もだろ！！？前原！！」
相変わらずすぎる彼らにみんな思わず笑みがこぼれた。
そんなときだった。ﾌﾟﾙﾙﾙっと誰かのスマホの着心音が響きわたった。
あっ俺だ、何ていいながらおもむろにスマホを取り出したカルマ。すぐに出るのかと思いきや画面を見つめるその顔は少し難しげだった。
「カルマ、出ないの？」
「あー、なんか知らない番号なんだよねー。渚知ってたりする？」
いたずらっ子のような笑みを浮かべるカルマ。僕が知るはずないなんてわかってて聞いてくる辺りやっぱり彼も昔から変わらない。
「僕が知ってるわけないじゃんか！！
…とりあえず出てみたら？」
ほんとはちょっとだけ、見覚えがある気がしたその番号。でも、記憶は曖昧で、ましてや誰のだったなんて覚えてるはずもなく…。
だからビックリしたんだ。
「…ゆー、ちゃん？」
“ゆーちゃん”
茅野がそう呼ぶのはたった一人だけ。
“黒咲 憂奈”
“渚はほんとかわいいわね”
そういって微笑むあの頃の彼女。
＿＿＿生きててよかった
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作者名：rainy x他1人 | 作成日時：2019年1月13日 2時
