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そのナイフを手に取った。




これで心臓を刺せば、

俺はみんなのところへ行ける。




父さんも、母さんも、姉貴も、

景山も、いる。




月明かりに照らされ、

ナイフは怪しげに光っている。







貴『...ごめん、先生』




ごめん、裏切るようなことして。

でも、俺は先生のこと、



ちゃんと、信頼、してたから。





ナイフを両手で持ち、

自分の心臓へ向けた。









死ぬこと以外、

考えてなかった。







だから、こちらに向かってくる人に、

気付かなかったんだ。









茅野「桜庭君、何してんの!?」





茅野の声がしたと思ったら、

持っていたナイフを奪われた。






貴『っ...返せ、こうするしかないんだ
俺が生きる意味なんてないから....』





そう言うと、



パチンッ








茅野に、頰を叩かれたのだ。



貴『テメェ!!何すんだよ!!』




茅野「なに馬鹿なこと言ってんの!?
生きてる意味がないなんて、そんなわけないじゃん!!

桜庭君がいなくなったら、みんなが悲しむ!!

私も、諏訪さんもクラスのみんなも、先生も、


...澪奈だって、そんなの、望んでない」





茅野は、泣きながらそう言った。




貴『......』






頰の痛みが、心の痛みに感じた。





.





その頃教室では、

柊と甲斐がまだ喧嘩を続けていた。



二人の世界に入っていたため、

美術室でのやり取りには気づいていない。




しかし、柊も甲斐も、


限界を迎えていた。








教室と、美術室。





すぐ近くの場所で、







二つの真実が、









今まさに明かされていた。

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作者名:TSUBASA | 作者ホームページ:http://exiledaisuki0113  
作成日時:2019年3月16日 14時

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