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柊が、傷ついてる。
柊が、柊の身体が、
悲鳴をあげている。
どうしたらいい?
だめだ、
俺が行ったところで、
何も出来ない。何も変わらない。
...あの日も、そうだった。
.
やば...帰るの遅くなっちゃった…
みんな心配してるよね…
時計を見れば、もう20時前だった。
家に着いて、鍵を差す。
貴『...ん?』
鍵が、開いている。
いつもは必ず閉まってるのに。
俺は、そっとドアを開けた。
貴『ただいま...姉貴いんの?』
家に入ると、
なぜか鉄の匂いがした。
家は真っ暗で、
誰からも返事はない。
貴『...姉貴いるなら、返事しろよ........』
玄関から歩き、
リビングへ向かった時、
足元で、ぴちゃ、と
何やら液体を踏んだ音がした。
生温い液体。
そしてこの鉄の匂い。
貴『...あ、ねき、?』
月明かりに照らされた浴槽の中で
真っ赤に染まって、
倒れていた。
.
目の前にいるのに。
何も、出来ない。
貴『......はは、』
俺は立ち上がって、キャンバスを倒した。
キャンバスには、赤い花が咲いていた。
それが、あの日の血溜まりに見えて、
なんとも言えない感情に飲み込まれた。
貴『っ......あぁもう、どうしろって言うんだよ.....』
ふと、目に入ったナイフ。
先生が、甲斐から奪ったナイフ。
貴『......早く消えたい』
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作者名:TSUBASA | 作者ホームページ:http://exiledaisuki0113
作成日時:2019年3月16日 14時