書き散らし寿司

家族［煉獄杏寿郎夢主］ ページ11

「おかえりなさい」

「ああ、ただいま」


杏寿郎さんの羽織を手に取り、軽く畳む。
少しため息をついたので思わず「どうしましたか？」と尋ねた。


「いや、隊立違反をした隊士がいてな……」


杏寿郎さんは話してくれた。
その隊士の境遇。真っ直ぐな彼らしい決断の速さ。


「じゃあ、しばらくは様子見ですね」

「ああ」


パタパタと、湯浴みの準備をしながら私は杏寿郎さんの話を聞く。


「あーん！ あーん！ あーん！」

「あ、杏寿郎さん、ごめんなさい」


杏寿郎さんの着替えを投げ捨てるように置き、虎寿郎を抱っこする。


「虎寿郎、ただいま」

「……」

「よもや！よもや！ 無表情！」


いつもと変わらないような顔をしているけど、これはショックを受けている顔ね……。


「……A、虎寿郎」

「はい」

「……俺は幸せだ」


そっと、杏寿郎さんは私と虎寿郎を抱き締めた。
……このままだったら良かったのに。

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