39 電話と、自覚 ページ2
*
【クロロside】
サクヤが試験に行ってから、2週間程。わざわざケータイを持たせ、何度も連絡していたのに、全く気付いていなかったらしい。
サクヤ『え、えと、どうして?』
と、驚いた声でオレに言う。
「どうして、じゃないだろう。ケータイ見てなかったのか?」
サクヤ『……あ』
間の抜けた声が耳に響く。……全く、こいつは……。心配していたというのに、
サクヤ『存在すら忘れてました』
「わざわざ言うのか?それ」
火に油、じゃないか?
「帰ってきたら罰ゲームだな」
サクヤ『ばつげー……嫌ですよ!何をされるつもりですか!』
何を……か。
オレは薄く黒い笑みを浮かべた。
「帰ってきたらのお楽しみだ」
サクヤ『ぜんぜん楽しみじゃないです、それ』
はぁ、と吐息がケータイから聞こえる。
……何だか、変な気持ちだ。
サクヤ『ちなみに今は何を?』
「ああ、今は−−」
耳元でサクヤの柔らかい声が聞こえるのが。
そういえば、オレがサクヤと電話をするのは、初めてかもしれない。いや……再会した時、くらいか?しかしその時は気が付いてなかったからな……。
サクヤ『私は次で最終だそうなので……すぐ帰れるかと』
「そうか。がんばれ」
サクヤ『はい!』
ぷつん、という音がサクヤの声を断ち切った。
「ふぅ」
ため息が漏れた。
耳から、頭から、
サクヤの声が離れない。
くすぐったいような気持ちが溢れて……
「……一体オレはいくつだよ」
何だよ、この気持ち。
たった19のサクヤに、こんなに惹かれているのだろうか。
たった一度、電話の声を聞いたぐらいで、こんなになってしまうほど−−
オレはベッドに倒れ込み、目を閉じる。
瞼は閉じても、しばらくはずっと、耳の奥をサクヤの声がくすぐっていた。
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藤原黎明 - ごめんなさい!コメント気が付いてませんでした……!探しにくくてすみません!でも、読んでいただけて嬉しいです! (2018年8月31日 17時) (レス) id: 50a7dd275d (このIDを非表示/違反報告)
みく(プロフ) - すみません。もう少し調べてみたら見れました!本当にすみません(T-T) (2018年8月10日 11時) (レス) id: ecaf096ebb (このIDを非表示/違反報告)
みく(プロフ) - あの、作品の一番始めといいますか第一話?が見れません。どうしたら見れますか? (2018年8月10日 11時) (レス) id: ecaf096ebb (このIDを非表示/違反報告)
フェイたん - とても面白いです!夢主ちゃん可愛すぎ!これからもお体に気を付けて頑張って下さい! (2018年1月12日 17時) (レス) id: 3affdfaf3c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤原 黎明 | 作成日時:2017年12月20日 0時