【H×H】ジャポンから来たお姫様は盗賊でした。

１２ 思わぬ結果 ページ13

*









「すごくかっこよくて……私の人生を変えてくれた方です。いつか会ってお礼を言いたいのですが」

盗賊さんは私の大事な人だ。それでも本当の名前なんて知らないし、どこ出身か、年齢は、今どうしてるかーーなんてことはもちろん知らない。
それでも、いつか会いたい。会ってーーお礼を言って、具体的にどうするかなんてことは考えていないけれど。

思い出すままに語り続けた話が終わった時には、デザートが運ばれてきていた。
デザート？デザートはプリンアラモードです。甘くてすごく美味しい。

「……」

「……クロロさん？」

運ばれてきたプリンをすごい速さで食べ終わって話を聞いていたクロロさんは、私が口を閉じた瞬間、片手で顔を覆った。

そして何故か肩を震わせる。一瞬泣いているのかと思ったが、そんなわけはない。笑っているのだ。

「何故笑うのですか？」

少しむっとしてプリンから目をあげる。

「笑ってる……が、……あの」

指の隙間から見えた頬は少しだけ赤い気がした。

「何なんですか、クロロさ……」



そこで初めて、彼の顔をしっかり見た。



……見てしまった。




「……かなり、話が美化されてるな、と。こそばゆい、というか……」

「ちょ、ちょっと待ってください！」

少し跳ね気味の黒髪、宝石のような美しい漆黒の瞳ーーその、雰囲気。
この低くて落ち着いた声も、『盗賊さん』に、酷似しているような気がしてくる。

答えはひとつしかない。

けれどそのひとつを考えたくない！！

「……ッな、まさか……そんな」

「くくっ」

「笑わないでください！」

クロロさんもそのひとつが分かっているのだろう。だからすごく笑ってる。

そして今度は、私の頰が真っ赤だ。

「どうして……」





「盗賊さん……ですか」





クロロさんはそれには応えず、微笑んだ。

「オレがジャポンに仕事で行ったのはちょうど５年前だ。そして隠れ家にいい場所を見つけてな」

5年前。

私が14歳の時ですね、はい。
ちなみに私があの男の人に会った年でもある。

クロロさんは微笑みながら続ける。

「隠れてから間もないうちに、それはそれは可愛らしい少女に見つかってしまって……」

この人、いじわるだ。わかってて言ってる。
可愛らしいって何ですか、可愛らしいって。

「外の国や、盗賊について教えてやったんだ。たしか、その子の名前が……」

「サクヤ＝コノハナですねわかります！！」

私は半ばクロロさんに噛み付くようにして答えた。

「ああ、そうだ」

と言って、クロロさんは満足そうに笑い、私は恥ずかしさで真っ赤になった。




*

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