152 おきた?おなかすいた ページ34
*
「動くと、切れるよ」
ギチギチと音が鳴る念糸に拘束されて、梟はなす術を失った。
「はいおしまい」
仲間の陰獣の最後の1人すら掃除機に殴り殺され、眼鏡をかけた女の足元に転がった。
ーー
同じく陰獣であった蚯蚓からの連絡を受けて旅団討伐に出てきた残りの陰獣メンバーすら梟を除いて全員が殺され、梟も死の瀬戸際だ。
「まずはノブナガを風呂敷から出してもらおうか」
長身のわりに童顔の男が指につまんだ風呂敷の中では、ノブナガという旅団員が捕らえてある。
「待って。梟も車に乗せるんだろ?狭いからノブナガはそのままでいい」
梟を捕らえた女が謎なことを言い始める。ふざけるな!と叫ぶノブナガに少々同情。
「あー……ねー、車だけ風呂敷から出すことってできるの?」
「ふ、不可能だ……」
「残念」
「仕方ないか」
人を殺した後だというのに、この余裕っぷり。梟はますます戦慄を禁じ得ない。
「……」
「どうした?フェイタン」
遠くからこちらを見ていた小柄な少年がずんずん歩いてきたかと思えば、突然梟の胸ぐらを掴んだ。
ギチリと強く首を握ったフェイタンにマチが顔をしかめた。
「ちょっとフェイタン、こいつは生かしてーー」
「お前、リヒトの血のにおいするね」
「!」
この言葉に、旅団員も思わず目を見開いた。
「リヒトに何した?言わなければ爪剥ぐ」
「……な、なんのこと……うっ!?」
「いちまいめ。ささと言うね、ワタシたち仕事ある」
心底苛立ったようなフェイタンに驚きつつも、シャルナークははっとして梟のポケットを探ってみる。出てきたのは1つの風呂敷包み。
「……これだ」
気配を探ってシャルナークは風呂敷を梟に解除させる。
ドサ、と重い音を立てて血だらけの少年が転がり臥す。
「リヒトだ」
シズクがとてとてと寄って突つくが、リヒトはぴくりとも動かなかった。
「あれ、おかしいなー」
「怪我もそのまま……お前、何したね」
「お、オレは何もしてない!!」
梟が叫んだ瞬間、血塗れの少年がいきなり立ち上がった。まるで糸人形のような立ち上がり方で。
「リヒト?」
「……」
ざわ、とリヒトの周りで風が吹いた。
「ニンゲン」
明らかな嫌悪がその言葉に込められていた。
「……俺は……」
再び風が吹いた。今度は先程よりも強く。
その風が止んだとき、
「……あれ?幻影旅団だ」
リヒトは、リヒトのままだった。
*
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藤原 黎明 - 藍季さん» 藍季さん、優しい言葉をありがとうございます…!はい、無理せず色々のんびりやっていこうと思います!続編も出せましたので、是非に!楽しんでいただけたら嬉しいです(o^^o) (2020年3月2日 12時) (レス) id: ed76ed8c0c (このIDを非表示/違反報告)
藍季(プロフ) - お身体はもう大丈夫ですか…?無理をせず、健康第一で更新頑張ってくださいね。ずっと応援しています! (2020年3月2日 12時) (レス) id: 183bdc47fe (このIDを非表示/違反報告)
藤原 黎明 - 神織さん» 神織さん、コメントありがとうございます!お褒め頂いて嬉しくも、更新ナメクジで申し訳ないです(泣) たまに思い出したときにでも覗いて楽しんでくれたら幸いです! (2020年3月1日 23時) (レス) id: ed76ed8c0c (このIDを非表示/違反報告)
神織 - めっちゃ面白いです! 何で名作って更新停止されてるの多いんだろ(ボソッ (2020年2月9日 10時) (レス) id: a6841af2ef (このIDを非表示/違反報告)
藤原 黎明 - 樹-KI-さん» ありがとうございます!すみません、最近誤字りまくってます汗 これからも頑張ります〜! (2020年1月7日 13時) (レス) id: 2fc4486bb4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤原 黎明 | 作成日時:2019年6月7日 23時