【H×H】君臨者の暇つぶし。#４

140 また？いやいやいやいやいやいやだやだやだやだたすけて ページ22

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【リヒトside】

血だらけで部屋から飛び出し、半裸のまま走る。人間体における過去最高速度で。

「待つね」

「やだよ！」

フェイタンが後ろから追っかけてくるので速度を上げる。

「まだ試したい器具があるね。実験させろ」

「やだ！絶対やだ！」

ちらりと後ろを見れば、その手には見たこともない、謎の器具が握られている。でもわかる。あれ痛いやつ。絶対痛いやつだ。

「お前が俺を拷問した時間は4時間12分16秒！十分だろう！」

「まだ足りない」

「強欲め！」

何がどうなって拷問されて逃亡に至ったか？
元はといえば俺がフェイタンの部屋を覗いてしまったことから始まった。誰かを拷問中だったシーンを目の当たりにし、その器具やら何やらに興味を持って見ていたら、急にガシって拘束され、

「お前も体験するか？」

ニヤ、と笑われて首を傾げている間に拷問が始まったのだ。

はじめのうちは傷つけられる度に傷を治していたが、そうしたらフェイタンが何故か喜んでエスカレートし始めたから、今は傷だらけのままだ。

「俺は痛いのいやなんだ、フェイタン、お前は楽しいかもしれないが、俺は痛いからいやだ」

「体験、これ大事ね。もと楽しい思いできるよ」

「何言ってるのかわからん。……痛い！」

両足に凄まじい痛み。ちょうど、腱が断裂する部分に刺さったナイフが見え、あまりの痛さに床に転がる。

「ハハ、捕まえたね」

ナイフが刺さったままずるずるっと引きずられた。痛いってば。



……まぁ、そんな理不尽な仕打ちを受ければ俺だって少しはイライラするんだぞ。



「離せフェイタン。そろそろ怒るぞ、俺」

「怒てみるがいいよ」

あーーー怒りますとも。お前は人を怒らせるのが好きみたいだし。

「『神異/パレイドリア』」

それにな、前に『おもい人/シュミュラクラ』でお前の記憶はちゃんと読んだんだ。苦手なものだってわかるんだからな。

フェイタンが苦手なのはーー

「『猫』」

「！？」

ざわざわ、と毛が逆立つ。尾骶骨のあたりが痛くなって、ぐうっと骨が伸びた感触。

ちなみに、猫に似た生き物が大きな世界にもいたんだ。なかなか可愛かったぞ、あっちのも。

「猫に噛まれてから、苦手なんだったか？」

「な」

「フィンクスの後ろに隠れて泣いてた」

「……！？」

「はははは形勢逆転だな」

後ずさりをしたフェイタンを壁に追い詰めて逃げられないように手で壁を押さえておく。

「猫怖いのか？俺でも？」

「……」

尻尾でフェイタンの頬を撫でる。

「フェイタン？」

「……」

「フリーズした」

そんなに苦手か。




*

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