145 ヨークシン?ヨークシン! ページ27
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【リヒトside】
「クロロ、あれヨークシンシティ?」
「見えたか?……ああ、あれだな」
クロロが頷いた。俺は思わず、ぴかぴか光っている遠くの街に見入る。
暗い中に、ぼんやり浮かび上がるようにして、たくさんの建物が立ち並んでいる。星も見えないような夜なのに、街はこんなに眩しい。
そういえばハンター試験の、飛行船から見た景色もこんな風だったな。もしかしたら、あの景色もヨークシンシティだったのかもしれない。
「……楽しみだな」
クロロが本から顔を上げて窓から街を見ながら微笑む。今まで見たことが無いようなワクワクしたような、でも少しだけ怪しい感じの笑みだ。
「俺、あの街に入ったら、眩しくて目がおかしくなるかもしれないな」
その時に少しだけ血のにおいがしたような気がして、それを搔き消したくて俺はクロロに話しかける。
「お前は言わば田舎生まれだもんな」
「うん。ここまでチカチカ眩しい所は無いし、眩しいと言っても……夜が無い所くらいか」
「夜が無い?白夜のことか?」
「びゃくやっていうのか」
話していると、シャルナークが運転する車が街には入らずに暗い廃ビルだらけのエリアに入った。
「この辺りでいいよね?」
「ああ」
廃墟の中から一棟、アジトにする建物を選んだようだ。車から降りたみんなに続いて、俺も一緒に降りる。
中に入ると、天井から色のある光が降ってきた。見上げると、月の光が色のついたガラスを通っていた。
「……天井、あれは?」
「ステンドグラスだな。割れてるが」
「ほう」
見上げているうちに、フィンクスたちは蝋燭をいくつか灯し始めた。これは、綺麗だな。
「……」
「触るなよ」
「触っても熱くないからいい」
「あー、そうかい」
「…………あつっ!」
「熱いんじゃねぇか」
バーカ、と言われて、むうと口を曲げる。そこまで熱くはないんだがな。ずっと触ってたら熱かった。
「明日には一度お別れか」
「寂しくなるわね」
クロロが言って、パクノダも俺の頭を撫でる。
「呼べばすぐ来るよ、俺」
「ふふ、そうだったわね」
「来いリヒト!!」
「来た」
「よし!」
ウボォーに呼ばれて瞬間移動したら撫でられた。いつものことだが撫で方が豪快すぎて痛い。
「みんなは仕事か。推奨するわけでは無いが頑張れ」
「うん。君臨者様の御加護よろしくー」
そういうのはカミサマにでもしてくれ。俺は神でも何でもない、ただの生命体のうちのひとつだからな。
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藤原 黎明 - 藍季さん» 藍季さん、優しい言葉をありがとうございます…!はい、無理せず色々のんびりやっていこうと思います!続編も出せましたので、是非に!楽しんでいただけたら嬉しいです(o^^o) (2020年3月2日 12時) (レス) id: ed76ed8c0c (このIDを非表示/違反報告)
藍季(プロフ) - お身体はもう大丈夫ですか…?無理をせず、健康第一で更新頑張ってくださいね。ずっと応援しています! (2020年3月2日 12時) (レス) id: 183bdc47fe (このIDを非表示/違反報告)
藤原 黎明 - 神織さん» 神織さん、コメントありがとうございます!お褒め頂いて嬉しくも、更新ナメクジで申し訳ないです(泣) たまに思い出したときにでも覗いて楽しんでくれたら幸いです! (2020年3月1日 23時) (レス) id: ed76ed8c0c (このIDを非表示/違反報告)
神織 - めっちゃ面白いです! 何で名作って更新停止されてるの多いんだろ(ボソッ (2020年2月9日 10時) (レス) id: a6841af2ef (このIDを非表示/違反報告)
藤原 黎明 - 樹-KI-さん» ありがとうございます!すみません、最近誤字りまくってます汗 これからも頑張ります〜! (2020年1月7日 13時) (レス) id: 2fc4486bb4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤原 黎明 | 作成日時:2019年6月7日 23時