109 殺る気?うん ページ34
*
観客の悲鳴が間近で聞こえた。ガラガラと後ろでコンクリートが崩れるのがわかる。
どうやら観客席まで飛ばされたらしい。
「リヒトさん!」
「……ズシ?」
観客たちは間一髪で避けてくれたらしい。それにホッとしてから、覗き込んでくるズシを視界に入れる。観に来てたのか。
ーーその背後
「ズシ!!」
ズシの首に迫る鋭い手刀。ーー殺意を持った。
背後に立っていたヒソカ……否。
「……お前」
死神の、微笑み。
「『神異』は攻撃により停止される♥」
これで全部かな?と首を傾げたのを睨みつけ、倒れていたズシを立たせた。
「ズシ、動けるか?……下がれ」
呆然としたズシがウイングの方へ向かい距離がとれたのを確認して、俺は立ち上がる。
「やっと、殺る気になったかい?」
「ああ」
ヒソカは歓喜を込めて笑う。その頰に、
「『やる気』が湧いた」
拳を叩き込む。
リングまでぶっ飛ばして、それを追って移動し、倒れたヒソカの鳩尾に蹴りを入れる。
「ゴホッ!」
「俺の友達に手を出すな」
拳に付いた血を払い、ヒソカを見下ろす。未だゾクゾクと歓喜を写す表情は、さすが。
「……『神異』の能力、まだ見つけられていない条件が1つある。が、サービスでプレゼントをあげよう」
小指を一本、立てる。するすると纏い絡むのは赤い糸。一端がヒソカの首に絡む。
「『おもい人/シュミュラクラ』」
グラムガスランド、というらしい。
ーー私、モリトニオ。旅芸人。君は?
血まみれで倒れていた少年は、たまたまこの街に来ていた旅芸人に拾われた。
彼は、俗に言う、天才であった。
彼を疎ましく避け続けたモリトニオ一座の団員たちにおいて、1人だけヒソカに親しみを見せた団員がいた。
彼女がーー
「……随分と、お前に会いたがっていたぞ」
少しだけ、俺は笑う。
「ーーヒソカ」
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勿忘草 - 実況さんに返事をする夢主さんが面白いwww (2020年6月14日 18時) (レス) id: a69079c5f6 (このIDを非表示/違反報告)
藤原 黎明 - マーシャさん» ふふふ(≧∇≦) 続編をお楽しみに!応援ありがとうございます! (2019年6月2日 6時) (レス) id: 862efe2a89 (このIDを非表示/違反報告)
マーシャ - 黒髪の青年はクロロですねわかります! 続編頑張ってください! (2019年6月1日 17時) (レス) id: 9f5cd220aa (このIDを非表示/違反報告)
藤原 黎明 - キラさん» キラさんありがとうございます!!こっからも頑張りまーす!! (2019年5月19日 1時) (レス) id: 862efe2a89 (このIDを非表示/違反報告)
キラ(プロフ) - やっぱりいつ読んでも面白いですー!!これからも楽しみにしてます!! (2019年5月17日 22時) (レス) id: b207c7ff5b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤原 黎明 | 作成日時:2018年12月29日 23時