↓バレンタイン 3 ページ18
*
少女「あ、ありがとう」
自分よりも幾分か背の小さい彼に頭を下げる。少年は小麦粉の袋を少女に渡した。
少年「ああ。……俺はリヒトだ。はじめまして」
少女「えっと、リナです」
リヒトと名乗った少年は、リナの持ち物をじっと見てから言った。
リヒト「バレンタイン？」
リナ「はい。クッキーなんだけど……。でも、朝から何回も失敗してて……私、こういうのに才能無いみたい」
リナは悲しそうに笑う。リヒトはむぅと口を曲げた。端正な顔がしかめられる。
リヒト「それを言ったら、メンチに叱られる」
リナ「え？」
リヒト「ああ、メンチという料理人の人間がいるんだ。俺は食事が好きになって、料理もやりたいと思ったんだが、いかんせん難しい。……そこで、その人に時々教えてもらってる」
リヒトがリナを見上げた。
リヒト「何回も失敗して、かなりしょんぼりして……『俺、料理の才能無いんだな』と言ったら、メンチに叱られた」
リナ「何て？」
リヒト「『アンタねぇ、才能が無いからって諦める言い訳にはならないでしょ！！才能が無くても料理したいんなら、それを補えるだけの努力をしなさい！！』」
リヒトはふふっと笑う。
リヒト「確かにそうなんだな。そのあと、頑張ったら、友達にも喜んでもらえるくらいの美味しいものができた。だから、才能とか関係無いと思うぞ」
リナが、ふぅっと息をついた。こくこくと頷いて、リヒトに微笑む。
リナ「うん……ありがとう」
でも、とリヒトが顎に指を当てる。
リヒト「それ以前の問題のような気がするな。においからして……何か、甘いものができてるようなにおいがしない……」
リナ「……えっ？」
リヒト「リナを手伝いたい。手伝ってもいいか？」
リナがきょとんとする。そうして頷くとリヒトも強く頷いた。
リナ「じゃあ、こっち……」
ぶつぶつと何か呟きながら付いてくるのを聞いていれば、クッキーの作り方を復唱しているらしい。
……色々と不安なコンビだ。
リヒト「たららったたたた♪たららったたたた♪」
リナ「たららったたたたたたー？」
リヒト「やるか」
リナ「うん！」
どこから出したというのか、白いエプロンをきっちり身に付けたリヒトが、真剣な顔でキッチンに立つ。
リヒト「ちなみにこの焦げたにおいはクッキーか？」
リナ「うん」
リヒト「……予熱して焼いてたか？」
リナ「よ、ねつ？」
リヒト「一般のオーブンだと、だいたいは必要だ。……予熱かけないで焼いて、生だったり？」
リナ「それで長い時間焼いてみたんだけど、焦げてて」
リヒト「なる、ほど」
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勿忘草 - 実況さんに返事をする夢主さんが面白いwww (2020年6月14日 18時) (
レス) id: a69079c5f6 (このIDを非表示/違反報告)
藤原 黎明 - マーシャさん» ふふふ（≧∇≦） 続編をお楽しみに！応援ありがとうございます！ (2019年6月2日 6時) (レス) id: 862efe2a89 (このIDを非表示/違反報告)
マーシャ - 黒髪の青年はクロロですねわかります！ 続編頑張ってください！ (2019年6月1日 17時) (レス) id: 9f5cd220aa (このIDを非表示/違反報告)
藤原 黎明 - キラさん» キラさんありがとうございます！！こっからも頑張りまーす！！ (2019年5月19日 1時) (レス) id: 862efe2a89 (このIDを非表示/違反報告)
キラ(プロフ) - やっぱりいつ読んでも面白いですー！！これからも楽しみにしてます！！ (2019年5月17日 22時) (レス) id: b207c7ff5b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藤原 黎明 | 作成日時：2018年12月29日 23時
