16.夜の出来事…4 ページ47
パッと目を覚ますと、わたしはベッドにいて。そういえばだるまさんと飲んでいた途中で寝てしまい、ここまで運んでもらったんだと思い出す。
隣を見ると、だるまさんは布団の中には入らず、わたしと少し距離を空けて寝ていた。同じベッドにいたことを考えると恥ずかしくなると同時に、わたしが寝てしまったせいで家に帰れなかったんだろうな、申し訳なく感じる。でもおかげさまで、あの事件以来一番気持ちよく入眠できた。
ここ数日間、本当にお世話になった。外に出るときはいつも着いてきてくれて。ごはん食べれてる?って心配してくれて。それはもう……ただの隣人とは思えなくなるくらいには、一緒に過ごしてくれた。
一連の優しさはわたしのことが単純に心配だからなだけで、好意なんてないかもしれないけど…
こちらに寝顔を向けているだるまさんの頬に手を添えて。そっと、バレないように唇に指をずらす。親指で下唇を撫でてみたら、だるまさんの目がぱちっと開いた。
思わず指を引っ込めようとしたら、手首を掴まれる。
だ「なんやこの手は」
『……青のりついてた』
だ「青のりついたもん食ってへんわ」
『……………』
やばい、めっちゃ恥ずかしい。なんて言おう。
ひとりで焦って目を背けていると、だるまさんは布団に潜り込んできて、わたしの腰に腕を回した。そして、ぎゅーっと抱きしめられる。
だ「落ち着くわぁ、人肌」
『…くるしい』
だ「嫌?」
『…嫌じゃないけどっ!』
もういいや!とわたしもぎゅっと抱きしめ返した。自分の心臓の鼓動が、だるまさんにバレないかと思うとさらにドキドキする。
しばらくぎゅーをしていると、なぁ、とだるまさんが少し身体を離して目を合わせてくる。
だ「キスしていい?」
そう聞かれた瞬間、ぼっと自分の顔が赤くなるのが分かった。
いいよ、なんて恥ずかしくて言えなくて。やだ、と断る気持ちなんて1ミリもなくて。
ただ、ぎゅっとだるまさんの服の裾を掴んだら、わたしのおでこにかかった前髪を優しく払ったあと、ゆっくり顔を近づけてきて。わたしも、自然と目を閉じて、そして唇を合わせた。
ほんとに数秒のキスだけど、わたしにとってはすごく長く感じて、唇が離れたあとは恥ずかしくなってだるまさんの胸板に顔を埋めた。
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宇蘭(プロフ) - HRNさん» HRNさん ありがとうございます♪励みになります!更新頑張りますので、もう少々お待ちください♪ (2023年3月14日 19時) (レス) id: ed273fce11 (このIDを非表示/違反報告)
HRN - 本当に共感できる内容で素敵な小説でした❣続き楽しみにしてます! (2023年3月13日 19時) (レス) id: 0ac97815cb (このIDを非表示/違反報告)
宇蘭(プロフ) - マヨネーズさん» マヨネーズさん!こちらこそありがとうございます!!わたしも書きながらキュンキュンしました。wがんばります!! (2023年2月11日 2時) (レス) id: ed273fce11 (このIDを非表示/違反報告)
マヨネーズ(プロフ) - とても好みの小説でめっちゃキュンキュンしました…!素敵な小説をありがとうございます!これからも楽しみにしてます!! (2023年2月9日 23時) (レス) @page49 id: 7e7652eaca (このIDを非表示/違反報告)
宇蘭(プロフ) - 金成さん» ご指摘ありがとうございます。すぐに修正しました。 (2023年2月8日 15時) (レス) id: ed273fce11 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:宇蘭 | 作成日時:2023年2月7日 1時