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☆8 ページ9

「おっ、Aちゃん!」

「忍……?」



その日の夜。

とりあえず風呂に入って汗を流したあと、ホテル内に設置されている売店でジュースでも買おうとふらふらしていたら、偶然忍と遭遇した。



「奇遇でござるな〜。Aちゃんは何を?」

「ジュース買いに来ただけ。忍は?」

「拙者は罰ゲームでみんなのご希望のものを買いにきたんでござるよ。……というかAちゃん、なんだか暗いでござるな?」



機嫌悪い?とでも言いたげに、心配そうな目でこちらを見てくる彼に首を振る。



「重労働だったからすごい疲れてさ……体力には自信あるほうだったんだけど」

「そ、そうだったんでござるか……ともあれ、よく頑張ったでござるなぁ、Aちゃん」

「ありがと……」



大きくため息をつきながら項垂れる私を見かねたのか、少したどたどしく頭を撫でてくれる。

身長差ゆえにしんどそうだけど……。



「……なんか救われた気がする」

「これしきのことならいくらでもするでござるよ!」

「いや、それはいいや。恥ずかしい」

「そっ、即答でござるな……!?」



とここで、ふと忍のさっきの言葉が気になった。



「そういえばさ、罰ゲームってなんのこと?」

「む?」

「さっき言ってたじゃん。罰ゲームでなんか買いにきた、みたいなこと」

「……ああ!そのことでござるか!」



私の言うことにやっと納得がいったらしい。



「さっき部屋でUNOをしていたんでござるが、みんなさっさと上がってしまって……拙者のストレート負けでござる」

「UNOでストレート負けって……カード運なかったの?」

「そりゃもう……出す直前で手札にない色に変えられるし、引いても記号カードばっかり出て消費に困るという事態に陥ったでござる」



ご愁傷様様だな……。

でも賑やかで楽しそうじゃん、と言うと。



「Aちゃんは一人部屋でござるか?」

「そうだよ」

「えええ!寂しくないんでござるか!」

「うーん……別に?」



正直もう寝ることしか頭になかったので、どちらかと言えば一人部屋の方がありがたかった。

すると忍が突然、何かを思いついたようにハッとした表情になる。

……なんかまた、突拍子もないことを言ってきそうな雰囲気――



「Aちゃん!」

「な、なに……」

「よかったら来るでござるよ!拙者たちの部屋に!一緒にUNOしよう!」



……やっぱりな。

またため息が出たが、どうやら忍には聞こえていないみたいだ。

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作者名:ささくれ | 作者ホームページ:  
作成日時:2018年2月10日 22時

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