5 ページ26
・
「うわぁ〜・・・・・・ なんじゃこりゃ 」
表紙に苦笑いを浮かべるA。
やはり、ギッチョ(って方言なんですよね? 左利きの事を言います ) は
難しいよなぁ〜。
首を捻って書き直そうか考えるも
似たような字しか書けないと断念をして、ページを捲った。
春山日記、と云う題名のノート。
それは送れない手紙を日々書きたいAなりのラブレター。
ノートの一頁目は、左が表紙の裏で、右側から始まる。
油性ペンからシャーペンに持ち変えたAは
今日の日付を大きく書いた。
今日から始めた事を強調したい訳じゃない。
大きくしか書けないのだ。
そして、その次のページを捲る。
一枚目は日付で埋まってしまったから。
沢山の文字を書くのは弛くない。
だから伝えたい一言だけ。
ーー 待ってます ーー
本当は春山に伝えたい言葉。
でも余りにも字が下手すぎて手紙は送れない。
龍友か南田看護師に代筆を頼もうかと何度か思った。
でも、それはダメだと諦めた。
手紙を出せないなら・・・・・・
責めて帰って来た時に見せたいと思ったのだ。
ずっと待っていたんだよ、って。
・
68人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:翔織 | 作成日時:2016年9月15日 21時