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「そうだ 」 思い立ったAはカーテンから手を放す。
部屋の灯りを点けると、小さな白いテーブルの前に座った。
テーブルの下には変わらない置き順の問題集や教科書。
数段積まれた山には束で買った大学ノートも紛れている。
Aは積んだ問題集とノートの間から
一冊の大学ノートをスーッと抜いた。
紫色の表紙の、折り目が一つも付いてないノートを。
怪我をした日、春山への手紙を書いたままの部屋は
何一つ変わることなくそのままで
ブリキのペン立てはテーブルの上に置きっぱなし。
Aはペン立てから黒い油性ペンを手に取った。
左手に握ったペンを口に加えてキャップを引き抜く。
ポンッ。 良い音を鳴らして剥き出しになったペン先は中字。
「よ〜し! 」 意気込んで左手に握ったペンで表紙に書いたのは
ーー 春山くん日記 ーー
しかし慣れない左で書いた文字は歪に歪んで
そして震えていて無駄に大きい。
しかも何て書いてるのか本人すら難解な文字になってしまった。
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作者名：翔織 | 作成日時：2016年9月15日 21時
