2. Side K ページ2
FBが派手な音を立ててすっ転び、Aの手を借りて立ち上がるのを見た俺は笑いながらもあろまとえおえおにサッと目配せをした。
二人もチラリとこちらとお互いを見る。
俺らの心は一つ。
――FBめ、どさくさに紛れてAのこと触りやがって！！
そう。俺、あろま、えおえおの三人は共同体を結んでいた。
題して、A抜け駆け禁止の会。今決めた。
Aが初めて俺らの仕事のサポートに回ったときから、FBを含め俺ら四人は彼女の仕事ぶりを気に入っていた。
それにプラスして、俺は彼女のことを女性としても魅力的な人だと感じて出会って早々にアプローチを始めたんだ。
軽い？いやいや、ただちょーっと仲良くしよーと思っただけですよ。
残念ながらそう思ったのは俺だけではなかったようで、あろまもえおえおも普段のスタッフへの対応とはどこか明らかに違っていることは容易に見て取れた。
焦った俺は、その日のうちに二人を引っ捕らえて取引を持ちかけた。
抜け駆けはしない。
誰か一人が何かをしたら、他の二人もそれをする権利をもつ。
だから仲良くAと親交を深めましょう。
A本人の意思はガン無視した条例だが、俺達三人はそれでなんとか今までやってきていた。
それをFBが破るなんて！
いや、あいつはこの共同体の存在すら知らないんだけど。
だからと言ってあれは見過ごせない。
俺だってAの手握りたいぞ。
髪をわざと少し崩して、まだFBのこと心配そうに見ているAの前をスッと歩くと、彼女はすぐ俺に気づいた。
「きっくんさん、待ってください」
「ん？なに〜？」
「髪の毛、ちょっと乱れちゃってます」
「マジで！直して直して！」
作戦成功。細かいところにもすぐ気がつくAにはこういう手が効くのだ。
かがんで頭を向けると、ちゃんとメイクさんに直して貰ったほうが、と言うのでいいからいいから！とより頭を近づける。
「…………はい。これでどうでしょうか」
「かっこよくなった？」
「きっくんさんはいつもバッチリかっこいいですよ」
「いぇーいありがとー！」
髪の毛を直したまま浮いていたAの手を取って、きゅっと握る。
Aはいつもの優しい笑顔で、いぇーい、とノリよく合わせてくれた。
……後ろの鬼のような視線は、気にしないことにしよう。
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せとか(プロフ) - ﾊﾅﾋﾞｴ（碧鳴）さん» いつもコメありがとうございます！こんな短編までお読みいただき嬉しいです！ハッピー11th！ (2020年9月10日 7時) (
レス) id: 05c1f5cb14 (このIDを非表示/違反報告)
ﾊﾅﾋﾞｴ（碧鳴）(プロフ) - 気づいたら11thの日になってる［ぴえん］素敵なお話ありがとうございます (2020年9月9日 0時) (レス) id: e2ccf18f81 (このIDを非表示/違反報告)
せとか(プロフ) - みずいろさん» コメ＆お読みいただきありがとうございます！こちらこそみずいろさんの作品全て読ませていただいてるのでコメいただき震えました……！こちらは超短編ですが引き続きよろしくお願いします。 (2020年9月6日 22時) (レス) id: 05c1f5cb14 (このIDを非表示/違反報告)
みずいろ(プロフ) - コメント失礼致します。鬼の元カノは悩んでる の時からこっそりと追いかけさせていただいています！毎日の更新本当にお疲れ様です。今作もとっても面白そうで、既に今後の展開にワクワクしています。これからもお身体にお気をつけてご活動なさってください！ (2020年9月6日 21時) (レス) id: ebeb97e457 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：せとか | 作成日時：2020年9月5日 18時
