59. 10日目-6 ページ9
自由に動かせない両腕でなんとかあろまのシャツに指を引っ掛けぎゅーをねだると、あろまは覆いかぶさった体制から腕を私の首と腕の下に回して抱き寄せた。
あろまの言葉と行動が胸を突いて涙が止まらない。
指元のシャツをギュッと掴み、溢れる涙を寄せられた体に押し付けた。
「あろま、あろまっ……好き……！」
「知ってる」
「大好き……！」
「わかってるよ」
あろまの手が後頭部をサラサラと撫でる。
小さい子をあやすような行動だけど、慈しみ方が今までと違って感じられる。
あろまは一通り泣き尽くした私の腕を引っ張り体を起こして、そろそろ帰るか、と言うから無言で頷く。
でも、まだ離れたくない。
立ち上がったものの、あろまの腕に体をぴとりと寄せて動けない。
「ほら、これじゃ運転できねーだろ」
「うん……」
「それともこのままホテルでも行くか？」
からかうような口調だったが、それでもいい。
それでもいいとすら、あろまに対しては思ってしまう。
それであろまを繋ぎ止められるなら。
それでこの時間が続いてくれるなら。
それでもいいと思ってしまうほど、あろまが好きだ。
そんな気持ちを込めて無言で見上げるが、あろまは小さく息を吐いて目を逸らす。
「冗談だよ。俺、お前のことは大事にしたいの。ほれ、シート片付けるの手伝えや」
やんわりと腕を離されて、仕方なく地面に敷かれたシートに手を伸ばしノロノロと片付けを始めた。
**
「あろま、いつまでこっちにいられるの？」
駐車場に戻って車に乗り込み、ずっと気になっていたことを聞く。
この帰省はあろまにとっては予想外のものだったはずだ。
そう長くはいられないことはわかっている。
「明日の夜には帰んなきゃだな」
「そんなにすぐ……」
「またすぐ来る」
「うん……」
せっかく恋が実っても、一緒にいられる時間がこんなにも短いとは。
車を発進させたあろまのほうを見ずに、下を向いたまま、思いきって口を開いた。
「あろま、私あろまになら何されてもいい。ホテルだってどこだって、行ってもいい」
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せとか(プロフ) - 有馬さん» 前作に引き続きご愛顧いただきありがとうございます！あっためすぎてもはや煮詰まってしまったのではないかと心配になりますが可愛いと言っていただき嬉しいです。今後もよろしくお願いします。 (2020年9月16日 23時) (
レス) id: 05c1f5cb14 (このIDを非表示/違反報告)
有馬(プロフ) - 完結おめでとうございます！前作に引き続きとても楽しく読ませていただきました。今回もｷｭﾝｷｭﾝが止まらなかったです……6年も前からあっためていた作品…両者の歳の差や関係性に葛藤する二人が可愛かったです。素敵な作品をありがとうございました！ (2020年9月16日 22時) (レス) id: adf3e71480 (このIDを非表示/違反報告)
せとか(プロフ) - ﾊﾅﾋﾞｴ（碧鳴）さん» いつもコメありがとうございます！AN○は他の動画では見られない素敵な姿が見られますよね……私も見返してこよ 自作も引き続きよろしくお願いします。 (2020年9月5日 14時) (レス) id: 05c1f5cb14 (このIDを非表示/違反報告)
せとか(プロフ) - 時雨桜さん» 稚拙な文をお褒めいただき嬉しいです。ラストは自分でも唐突にぶっこみすぎか？と思ったもののその場の勢いと趣味を優先させました。趣味全開の文を最後までお読みいただきありがとうございます！ (2020年9月5日 14時) (レス) id: 05c1f5cb14 (このIDを非表示/違反報告)
ﾊﾅﾋﾞｴ（碧鳴）(プロフ) - 完結おめでとう御座います 更新され読むたび奇声をあげながら読んでました‥せとかさんの作品がほんま好きすぎる‥故に‥悲しいけれど‥次の作品も待ってますゆっくりと。久々に夢でキュンキュンさせられました‥AN○wの回たまたま最近見返したから‥びっくりしました (2020年9月5日 0時) (レス) id: e2ccf18f81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：せとか | 作成日時：2020年8月23日 19時
