54. 10日目-1 ページ4
「あろまっ、お待たせ！」
「長ぇからンコしてんのかと思ったわ」
「してないよ！」
「じゃ、行くぞ」
お気に入りのワンピースを着て、髪を一生懸命整えて。
リビングでお茶を飲むあろまの前に準備万端の状態で現れた乙女に対する言葉じゃない。
玄関を出ながら、あろまにワンピースを見せつける。
「ね、これかわいい？」
「おー、かわいいかわいい」
「思ってない声じゃん！」
文句を言いながらバタン、とドアを閉め鍵を掛けてあろまに向き直ると、あろまはこっちをじっと見たまま立っていた。
「思ってるに決まってるだろ」
「……へ、」
それだけ言ったあろまは、ふい、と顔を背けて玄関前に止めた車の運転席に乗り込んだ。
顔が、熱い気がする。
あろまの言葉に動けず、「なにしてんの、はよ乗れや」の声に慌てて助手席に乗り込むと、あろまはニヤニヤとした顔でこちらを見ていた。
「なに自分で言っといて照れてんだよ」
「う、うるさい！馬鹿！」
「お？いいのかなー？このまま樹海まで行っちゃうぞー？」
「殺される！！」
****
日はとっくの前に落ちきって、欠けた月が暗闇の中で光る。
車はだんだんと街から離れ、道の人気がなくなっていく。
「あの……あろまさん、山の方へ向かっている気がするんですけど……」
「察しがいいねぇ」
「ま、まさか本当に捨て……」
「さあ？どうでしょ？」
「やだー！！助けてーー！！」
シートで体を前後に揺らすと、ふはは、と楽しそうに笑うあろま。
この人、鬼だ。
最期の言葉を考える私をよそに、車は無慈悲に更に暗闇のほうへと向かっていった。
****
「ほい、着いた」
「マジで山じゃん！！」
車を止めたのは、ちょっとした小高い山の中腹にある空き地。
辺りは暗く木々が生い茂り、まさに森といった様子だ。
「あ、A後ろの紙袋取って」
後ろの座席から言われた通りの袋を手に取る。
紙袋からは丸められたブルーシートがはみ出していた。
……あれ？私もしかしてガチで山に埋められるのでは？
「あろま、これ……何に使うの……？」
「いーこといーこと」
あろまは紙袋を受け取ると楽しそうにずんずん森を進んでいく。
ああ、もう駄目だ。
そんな思いで歩いていると、ふいに木が少なくなり、少し開いた場所に出た。
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せとか(プロフ) - 有馬さん» 前作に引き続きご愛顧いただきありがとうございます！あっためすぎてもはや煮詰まってしまったのではないかと心配になりますが可愛いと言っていただき嬉しいです。今後もよろしくお願いします。 (2020年9月16日 23時) (
レス) id: 05c1f5cb14 (このIDを非表示/違反報告)
有馬(プロフ) - 完結おめでとうございます！前作に引き続きとても楽しく読ませていただきました。今回もｷｭﾝｷｭﾝが止まらなかったです……6年も前からあっためていた作品…両者の歳の差や関係性に葛藤する二人が可愛かったです。素敵な作品をありがとうございました！ (2020年9月16日 22時) (レス) id: adf3e71480 (このIDを非表示/違反報告)
せとか(プロフ) - ﾊﾅﾋﾞｴ（碧鳴）さん» いつもコメありがとうございます！AN○は他の動画では見られない素敵な姿が見られますよね……私も見返してこよ 自作も引き続きよろしくお願いします。 (2020年9月5日 14時) (レス) id: 05c1f5cb14 (このIDを非表示/違反報告)
せとか(プロフ) - 時雨桜さん» 稚拙な文をお褒めいただき嬉しいです。ラストは自分でも唐突にぶっこみすぎか？と思ったもののその場の勢いと趣味を優先させました。趣味全開の文を最後までお読みいただきありがとうございます！ (2020年9月5日 14時) (レス) id: 05c1f5cb14 (このIDを非表示/違反報告)
ﾊﾅﾋﾞｴ（碧鳴）(プロフ) - 完結おめでとう御座います 更新され読むたび奇声をあげながら読んでました‥せとかさんの作品がほんま好きすぎる‥故に‥悲しいけれど‥次の作品も待ってますゆっくりと。久々に夢でキュンキュンさせられました‥AN○wの回たまたま最近見返したから‥びっくりしました (2020年9月5日 0時) (レス) id: e2ccf18f81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：せとか | 作成日時：2020年8月23日 19時
