61. B'day-2 ページ11
その夜はドキドキで寝付けなかった。
星を見ながら打ち明けられたあろまの想い。
車中で見たあろまの目。一瞬触れるようなキス。
両頬を包んだ優しい手と、初回より少しだけ長いキス。
夢にも見たような、いやそれ以上の、展開だ。
「ぅわぁぁ〜〜〜〜〜…………」
まともな言葉にならないうめき声を上げて枕に顔を埋める。
「……明日、どうするんだろう……」
布団を被り、むりやり目をつぶってなんとか心を落ち着けさせた。
***
次の日。
がんばって普段着ないワンピースと格闘して、家にたまたまあったちょっといいチョコレートをひっ掴み隣の家のピンポンを鳴らすと、すぐにあろまがドアを開けた。
「はいどーも」
「あろま、おはよ！」
「おー。とりあえず上がってけ」
「おじゃましまーす」
玄関を上がって廊下を進むうちに、随分と家が静かなことに気づく。
「ご家族は？」
「でかけた」
「そ、うなんだ」
サラッとした答えに、心臓が跳ねた。
小さい頃にも家族がいないときに遊びに来たことは何度もある。
それでも、昨日あんな話をしたあとでは少し意識してしまう。
できるだけ自然に、何も意識していないように見えるように、カバンをリビングのテーブルに置いてチョコを手に取りながら声を出した。
「そうだあろま、プレゼントらしいもの準備できなかったんだけど、美味しいチョコがあったから持ってきたの。冷蔵庫入れとくね」
「おー、サンキュ」
勝って知ったる台所の冷蔵庫にチョコを押し込むと、後ろから腕が伸びてドアがバタンと閉まった。
驚いて振り返る前に、もう一方の腕に体を囚われた。
あろまの頭が、私の頭にすり寄るのが感じられる。
「やわらけー……」
「あ、ろま……？」
「……なんだよお前、脱がせにくそうな服着やがって」
「脱が、え、あのっ、」
慌てて体を回してあろまに正対すると、随分と拗ねたような顔が見えた。
でもその目はギラギラした色を帯びていて、その眼差しだけで体があっという間に熱を持ってしまう。
「30にもなって実家で家族がいないときに、っつーのもどーかと思うけど……」
「え、……」
「……お前が言い出したんだから、覚悟しろよ」
噛み付くようなキス。
首筋をゆるゆると撫でる手に背中が粟立ち、唇を覆われた息苦しさで涙が溢れる。
その後のことは、よく覚えていない。
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せとか(プロフ) - 有馬さん» 前作に引き続きご愛顧いただきありがとうございます！あっためすぎてもはや煮詰まってしまったのではないかと心配になりますが可愛いと言っていただき嬉しいです。今後もよろしくお願いします。 (2020年9月16日 23時) (
レス) id: 05c1f5cb14 (このIDを非表示/違反報告)
有馬(プロフ) - 完結おめでとうございます！前作に引き続きとても楽しく読ませていただきました。今回もｷｭﾝｷｭﾝが止まらなかったです……6年も前からあっためていた作品…両者の歳の差や関係性に葛藤する二人が可愛かったです。素敵な作品をありがとうございました！ (2020年9月16日 22時) (レス) id: adf3e71480 (このIDを非表示/違反報告)
せとか(プロフ) - ﾊﾅﾋﾞｴ（碧鳴）さん» いつもコメありがとうございます！AN○は他の動画では見られない素敵な姿が見られますよね……私も見返してこよ 自作も引き続きよろしくお願いします。 (2020年9月5日 14時) (レス) id: 05c1f5cb14 (このIDを非表示/違反報告)
せとか(プロフ) - 時雨桜さん» 稚拙な文をお褒めいただき嬉しいです。ラストは自分でも唐突にぶっこみすぎか？と思ったもののその場の勢いと趣味を優先させました。趣味全開の文を最後までお読みいただきありがとうございます！ (2020年9月5日 14時) (レス) id: 05c1f5cb14 (このIDを非表示/違反報告)
ﾊﾅﾋﾞｴ（碧鳴）(プロフ) - 完結おめでとう御座います 更新され読むたび奇声をあげながら読んでました‥せとかさんの作品がほんま好きすぎる‥故に‥悲しいけれど‥次の作品も待ってますゆっくりと。久々に夢でキュンキュンさせられました‥AN○wの回たまたま最近見返したから‥びっくりしました (2020年9月5日 0時) (レス) id: e2ccf18f81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：せとか | 作成日時：2020年8月23日 19時
