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6. 8年前 11さい (a視点) ページ6

8年前。

俺は久々に実家に帰ってきていた。

家を離れて3年経つ。
最初の頃は月1程度で帰ってきてはいたが、次第に仕事が忙しくなり、週末は帰るより寝たりゲームしたりを優先してしまいなかなか帰省――というほどの距離でもないが――できていなかった。

家の前に着き、実家の隣に建つ家を見上げる。

このお隣さんの一人娘は俺に懐いていて、昔はよく遊んだものだったがここ2年はすっかり会っていない。
定期的な帰省をしなくなったあとも盆と正月ぐらいは帰ってきていたものの、ちょうどすれ違いで隣人ご家族は親戚の家に行ってしまっていたのだ。

今日は夏休みでも冬休みでもないが、帰ってくることは連絡していないし、まあ会うこともないだろう――そう思って自宅の門に手をかけたとき、ふと自分を呼ぶ声がした。

「……あろまお兄ちゃん?」
「……お前、Aか?」

噂をすれば影が射す。

通りの少し離れたところからパタパタと駆け寄る少女はまぎれもなくAだったが、その姿は見違えるほどだった。

服装や顔立ちはまだまだ幼さが残り、自分から見たら到底大人とは言えないようなものだ。
それでも、2年以上前に彼女を最後に見たときと比べるとずいぶん背も伸び、ぐっと成長している様子が見られる。

「帰ってきてたの?」
「おう、今着いたとこ」
「そうなんだ、疲れてるとこ呼び止めてごめんね」
「……別に遠くじゃないし疲れてねーよ」

こんな気遣いができる子だっただろうか。
少なくとも俺がこんぐらいの歳の頃にこんな言葉が言えた記憶はない。
幼少期は女子のほうが成長が早いとは言うが、子供の成長速度に目眩がする。

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せとか(プロフ) - 碧鳴さん» 碧鳴さん前作に引き続き今作も読んでいただきありがとうございます。前作に増して特殊設定ですが楽しんでいただけると幸いです。 (2020年7月10日 13時) (レス) id: 05c1f5cb14 (このIDを非表示/違反報告)
碧鳴(プロフ) - 新作…!!続き楽しみにしております (2020年7月10日 10時) (レス) id: e2ccf18f81 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:せとか | 作成日時:2020年7月8日 18時

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