44. 3日目-5 ページ44
「あろま、あろま!この人たち面白い!」
「お、おぉ……何言ってんだお前」
目の前にいるのが御本人であるということも忘れて動画を見漁る。
これは人気が出るわけだ。
定番の挨拶で動画が締まり、はぁ、と息をついて背もたれに体を投げる。
あろまがやっていたことがこんなに面白いことだったなんて。
「……あろま、凄いね」
「まーな」
正直言って、少し距離を感じてしまった。
見ているうちに、面白い面白いという感情と同時に私が側にいてはいけないんじゃないかという気持ちもどんどん湧いてきた。
あんま知らないけど、こういうのって女の影ちらつかせたら叩かれるんじゃないの?
あろまがそんなことになるのは絶対嫌だ。
そんなことを思案しながらあろまのゲーム画面をぼんやり眺めていると、ふいにあろまが口を開く。
「……A明日さ、」
――ピンポーーーン
声に被さるようにドアのチャイムが鳴る。
2人して顔を見合わせるが、あろまも不思議そうな表情だ。
「郵便?」
「もう夜の10時だぞ。遅すぎるだろ」
立ち上がったあろまが玄関の覗き穴を確認しにいく後ろでそっと壁から覗くようにして様子を伺う。
目をドアに寄せたあろまは、外の様子を確認するなり、はぁ!?と大声を上げ、慌て気味に鍵とチェーンを外す。
「お前らなにやってんの!?」
「あろまーーー!!遊びに来たぞーーーー!!!」
「ゔぇぇぇーーーい!!!」
「あろま、俺、止めたからな、ホントに」
あろまがドアを開けると同時に壁に隠れたから姿は見えないが、この声は。
間違いなく、さっきまで画面から聞こえていた声。
さ、騒がしい。
動画で見ていたときもそう思ったけど、リアルでこんな距離で聞くとこんなに騒がしいものなのか。
まだやいわいと騒ぎ続ける声に、ひと呼吸置いて響く家主の言葉。
「うるっっせぇ死ね!!!」
67人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
せとか(プロフ) - 碧鳴さん» 碧鳴さん前作に引き続き今作も読んでいただきありがとうございます。前作に増して特殊設定ですが楽しんでいただけると幸いです。 (2020年7月10日 13時) (レス) id: 05c1f5cb14 (このIDを非表示/違反報告)
碧鳴(プロフ) - 新作…!!続き楽しみにしております (2020年7月10日 10時) (レス) id: e2ccf18f81 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:せとか | 作成日時:2020年7月8日 18時