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42. 3日目-3 ページ42

あろまがおかしい。

手は繋いでくるし、なんか優しいし。

いや、昔から優しかったけど、それはなんというか"私の相手をしてくれてる"って感じの優しさであったのに対して、今は自発的に優しいように感じる。

水族館で買ったペンギンの小さなぬいぐるみをうにうにと捏ねくり回しながら、スタスタ先を行くあろまに付いていく。
このペンギンだってお土産屋さんで眺めていたら買ってくれたものだ。

隣に私がいないことに気づいたのか、振り返ったあろまは怪訝そうな顔をしながら手をこっちに伸ばす。

「なにしてんの。ほら」

よくわからず、差し出された手にペンギンをそっと乗せると、ちげーよ馬鹿と笑って手を取られた。
そのまま、また軽く握られる。

あろまさん、私をからかって遊ばないでください。
もう決めたんです。
もう諦めるって決めたんです。
……決めた、はずなんですけど。

うう、と行き場のない感情を握られた手にぶつけるように力を込めると、あろまも握り返してくる。
駄目だよあろま。
私のこと、怒ってたんじゃないの。
見られたくないもの見られて嫌だったんじゃないの。
こんなんじゃ、諦められないよ。

あろまの顔を下からチラと伺うが、いつものすまし顔でスマホを見ている。

「んー、まだちょっと早ぇな。他行きたいとこねーの?」
「え、えっと、」

そう言われても東京の名所には詳しくない。
私はただ、あろまと一緒にいられれば嬉しいけど。

そんな思いが口をついて出たようで、あろまは一瞬面食らったような顔をしてからふい、と顔をそらした。

「……映画でも観るか」

あれ。

手は繋がれたままだけど、どんどん早足で行ってしまうので顔が見えない。

あれあれ、もしかして。

小走りでついて行って、下から覗こうとしてもどんどん足を速められる。

「あろま照れてる?」
「うるせぇボケカスんなわけあるか殺すぞ」

あぅ、手厳しい。

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せとか(プロフ) - 碧鳴さん» 碧鳴さん前作に引き続き今作も読んでいただきありがとうございます。前作に増して特殊設定ですが楽しんでいただけると幸いです。 (2020年7月10日 13時) (レス) id: 05c1f5cb14 (このIDを非表示/違反報告)
碧鳴(プロフ) - 新作…!!続き楽しみにしております (2020年7月10日 10時) (レス) id: e2ccf18f81 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:せとか | 作成日時:2020年7月8日 18時

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