41. 3日目-2 (a視点) ページ41
俺はもう諦めた。
この思いを父性だと言い聞かせるのを諦めた。
俺はAのことが好きで、大切にしたい、男としてそばにいたいという気持ちがあることを認めた。
そうだ、俺はこいつのことが好きで、きっとずっとずっと昔から好きで、でも良識のある大人として自分を勝手に律していたんだ。
そんな俺の努力をガン無視したこいつは、バカみたいな理由をつけてここまでやってきた。
ああ、ふざけるな、ふざけるな、ふざけるな!
俺がこの引き出しに心をどれだけしまい込んでいたと思ってんだ。
それをこじ開けて床にぶちまけたお前にはそれ相応のことをしてもらうぞ。
実況のことを言ってなかったのだって、癪だがきっくんの言うとおり自分が常にかっこいいお兄ちゃんでいたかったからで、実況の姿はそれから遠い存在であると無意識下で思っていたんだろう。
クソ喰らえってんだ。
こいつがそんなんで俺のことを嫌いになるようなタマか?
逆に実況の俺を知らないのは俺のことをなんも知らないと同然だ。
これからたっぷりわからせてやって、その上で俺に惚れ直させる。
きっくんと話して、そういった結論にたどり着いた。
普段クソうるさい堕天使は、そんな俺を笑うことなく話を聞いてくれた。
今度麦茶の一本ぐらいは買ってやってもいい。
でも、まだ好きって言ってやんねぇ。
もう少しこいつがどういった手でやってくんのか見て遊んでやる。
そうと決まったら即行動、と思った矢先にこのガキは帰るとか言い出すので適当に言いくるめて水族館へ引っ張ってきた。
強引な流れで手を繋ぎ、慌てるAを見てほくそ笑む。
大方、俺を怒らせたと思って諦めようとか決めたところだったんだろう。
俺がちゃんと向き合ってやろうというのにそんなんは許さない。
色々遊んで、からかって。
そんでもっかい好きって言わせてやる。
Aは俺が繋いだ手のことでいっぱいいっぱいで魚なんか見えてないようだ。
顔はこの暗さでも隠しきれないほど真っ赤だ。
タコと見比べてやろ。タコどこだったかな。
Aが手を繋いでることに少し慣れてきてはしゃぎ始めるころを見計らい絡ませた手を軽く握ると、また顔を真っ赤にしてキュウ、と静かになる。
あーおもしれ。
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せとか(プロフ) - 碧鳴さん» 碧鳴さん前作に引き続き今作も読んでいただきありがとうございます。前作に増して特殊設定ですが楽しんでいただけると幸いです。 (2020年7月10日 13時) (レス) id: 05c1f5cb14 (このIDを非表示/違反報告)
碧鳴(プロフ) - 新作…!!続き楽しみにしております (2020年7月10日 10時) (レス) id: e2ccf18f81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:せとか | 作成日時:2020年7月8日 18時