検索窓
今日:23 hit、昨日:17 hit、合計:35,653 hit

40. 3日目-1 ページ40

「おいしい!」
「だべ?」

池袋駅の片隅、ラーメン屋。
早めの昼ごはんに細い麺を啜りながらあろまは続ける。

「これ食ったら水族館行くぞ」
「うんっ!」

まだ目的地についていないのに、あろまとこうして出かけられるだけでもすごく楽しい。
小さい頃、何度か遊びに連れて行って貰ったことがあったが、その頃のことを思い出すのもあってダブルで気分が上がっている。

チュルチュルと麺を啜っていると肘で軽くこづかれる。

「おら早く食え」
「あろま早い!」


****

青い、青い部屋。
周りには大きな水槽が広がっていて、まるで私達のほうが水の中にある部屋に閉じ込められてるみたい。

「……で、こっちのほうにマンボウが……」
「あろま、詳しいね。よく来るの?」
「今度イベントで使う」
「イベント?」
「……MSSPの」
「へー!こんなところでやるなんて凄い!」
「あいつらぜってーうるさくするわ。こんな音響くとこでさ」

ちょっとためらったような間のあとに言うので、聞かなきゃよかったと一瞬後悔した。
だが仲間のことを語るあろまの顔は楽しそうで、心からMSSPの活動を大事にしてる様子が伝わってくる。
それだけに知らされてなかったことは少し悲しくなるが、まぁもう過ぎてしまったことだ。

気を取り直して、水槽を見上げるふりをしながら横目であろまを盗み見る。
水槽とライトによって青く照らされるあろまはとても綺麗で、目を話したら水の中に消えて行ってしまいそうだ。

「……なにしてんの」
「……え、あ、あろまが……どっか行っちゃいそうで……」

無意識のうちにあろまのシャツの裾を掴んでいた。
それを指摘されても、離す気になれず、逆にきゅっと指に力を込めた。

「……どこも行かねーよ。ほら行くぞ」
「…………っ!」

あろまは私の手を裾から引っぺがすと、そのまま手を掴んで私を引く。
その力強くも優しい手に、頭は一気にキャパオーバーだ。

「あ、あろま……て、手……!」
「ん?ああ」

パッと離された手は、何を思ったかするりと指を絡ませる形で再度繋がれる。

ああ、この部屋が青くてよかった。

この顔の赤みを、少しは隠してくれそうだ。

41. 3日目-2 (a視点)→←39. 2日目-4



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (33 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
67人がお気に入り
設定タグ:実況者 , MSSP , あろま
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

せとか(プロフ) - 碧鳴さん» 碧鳴さん前作に引き続き今作も読んでいただきありがとうございます。前作に増して特殊設定ですが楽しんでいただけると幸いです。 (2020年7月10日 13時) (レス) id: 05c1f5cb14 (このIDを非表示/違反報告)
碧鳴(プロフ) - 新作…!!続き楽しみにしております (2020年7月10日 10時) (レス) id: e2ccf18f81 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:せとか | 作成日時:2020年7月8日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。