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38. 2日目-3 ページ38

あろまの部屋に勝手に入ったのは間違いだった――

大きな後悔の念で溢れかえる。
あろまが昨夜寝ていたはずのソファに寝転んで、腕で目を覆う。

確かにあろまに入るなと言われたわけではなかったが、ここに来た日のあろまの行動からなんらかの仕事部屋であることは明らかだった。
職業にもよるだろうが、仕事部屋というものにはあまり見られないほうがいいものが詰まっていることだってあるだろう。
それをただ前日に中を見れなかったからという理由で入って、あまつさえ本を勝手に広げて見てしまうなんて。

その部屋が私に晒したあろまの秘密の内容は、正直よくわからなかった。
ゲーム実況。あろまの影響もあってゲームはそこそこ好きな方ではあるが、実況動画を積極的に見ることは今までしてこなかった。
そんな界隈の一大グループのメンバーの一人。
私にとっては常に近所のお兄ちゃんであり恋の相手であるあろまと、そういった人が簡単にイコールでは繋がらないのだ。

ただ、本を見る限りかなり大きく活動しているようだし、親や職場の人等も理解しているとの文言もあった。

自分はその中に入れなかった。

その事実もまた自分の心に深く鈍く響いた。
あろまにとって私は、所詮こういったことも教えるほどでもない、ただの近所の小娘にすぎない。
そういうことだろう。

……もう、無理だ。
15年続けたこの恋は諦めよう。

結局私はあろまに秘密を打ち明けて貰えるほど大事な人間じゃなかったし、これからそうなれる気もしない。
そして何より勝手に家に来て、勝手に部屋を見て、勝手に秘密を暴いてあろまを怒らせてしまっている。
いくらアピールしたってそんな人をあろまが好きになってくれるとも思えない。

私は最初から最後まで、ただの隣人だったんだ。

はあ、とため息をついて起き上がる。
諦めるとなればもうここへの長居は無意味。
早々に荷物をまとめて出ていこう。
頑張って来たけど、短かったな。

流石にあろまのいない間に出ていくのは勝手に来た身としては若干気が引けるので、あまり広がっていない荷物を軽くまとめて家主を待つことにした。

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せとか(プロフ) - 碧鳴さん» 碧鳴さん前作に引き続き今作も読んでいただきありがとうございます。前作に増して特殊設定ですが楽しんでいただけると幸いです。 (2020年7月10日 13時) (レス) id: 05c1f5cb14 (このIDを非表示/違反報告)
碧鳴(プロフ) - 新作…!!続き楽しみにしております (2020年7月10日 10時) (レス) id: e2ccf18f81 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:せとか | 作成日時:2020年7月8日 18時

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