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37. 2日目-2 (a視点) ページ37

「……は?」

なんだそれは。

活動内外での差であればまだ納得できた。
今となってはMSSPは俺の生活の大きなウェイトを占めているので、今まで"外"の俺を見ていた奴に"内"を見られてそれを"今の俺"として判断されるのはなんか癪だ、という気持ちとして理解できる。
まあ、俺は内も外も対して差はないんだが。

だが、"お兄ちゃん"の俺だと?
仮に"お兄ちゃん"の俺なんていうものがあったとしても、それはAしか対象にならないようなものだ。
そんなごく一部の人を対象にした俺より、比重が大きいはずの"それ以外"の俺を見られたくないなんて言うのは馬鹿げている。

そういうと、きっくんは呆れ顔でこっちを見る。
ムカつくのでとりあえずテーブルの下で足を蹴るといてぇ!と騒いだ。声がでけぇ。

「だからさ、それだけあろまの中でその子の比重が大きいんじゃないの。その子に対しては常にいいお兄ちゃんでいたいんでしょ」

まだ若干痛そうな顔をしたきっくんは、そう言い放った。

……いいお兄ちゃんでいただろうか。
そりゃ、小さい頃から遊んでとせがまれれば遊んでやったし、盆の土産に手持ち花火を持って行くことぐらいはしたが。
はたしてそれは、常にいいお兄ちゃんでいたいというほどの思いがこもったものだっただろうか。

今ひとつ納得の行かない俺に、きっくんは続ける。

「……それか、いいお兄ちゃんで"いなきゃいけない"と思ってるか」

その一言。
その一言は、俺をどん底に突き落とすものだった。

"いなきゃいけない"と思ってるってことは、それ以外の思いが本当はあるってことだ。

どんな思い?そんなのわかりきってる。

俺はあいつのいいお兄ちゃんでいなければならない。
小さい頃から見守ってきたお兄ちゃんでいなければならない。
初恋の思い出止まりのお兄ちゃんでいなければならい。

そう、決して、10歳下の少女を真面目に好きになるような男ではなく。

いいお兄ちゃんでいなければならないのだ。

「……ばっかじゃねーの」

悪態を絞り出したが、向かいの男はそれが絞り出したものであることをわかっているようだった。

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せとか(プロフ) - 碧鳴さん» 碧鳴さん前作に引き続き今作も読んでいただきありがとうございます。前作に増して特殊設定ですが楽しんでいただけると幸いです。 (2020年7月10日 13時) (レス) id: 05c1f5cb14 (このIDを非表示/違反報告)
碧鳴(プロフ) - 新作…!!続き楽しみにしております (2020年7月10日 10時) (レス) id: e2ccf18f81 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:せとか | 作成日時:2020年7月8日 18時

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