31. 1日目-2 (a視点) ページ31
一瞬、Aの意図しているところがわからなかった。
同年代？そんなの定義のしようによるだろ。
そう言おうとして、ふと思い出す。
そういえば数年前、言った気がする。
――お前なら同年代でいくらでもいいやついるだろ
――……あろまも、やっぱり同年代の人のほうがいい？
――まぁ、そう、だな
――……そうだよね
同年代。
その時の俺は、学校の同じクラスのやつとか、先輩だとか後輩だとか、そういう意味で"同年代"という言葉を使った。
そういうつもりだった。
でもこいつはきっとその時からこの言葉を頼りにして、この年、この日、自分も俺も同じ"20代"である期間を狙って、わざわざ東京に来てまでこれを言いに来たんだ。
……ばっかじゃねーの。
最初に思い浮かんだ言葉は冷たくもそんなものだった。
仮にそれを同年代と認めたとして、10日後には俺は誕生日を迎えて"30代"になってしまうわけだ。
お前の理論は破綻する。
そんな馬鹿げたことを言いに東京に来たのか。
Aの顔は真剣なままだ。
ふざけているわけではなく、本当にこの時を待っていたんだろう。
同年代のほうがいい、と言ったあの時。
あの時のお前ははどんな表情をしていただろうか。
笑っていた？
泣いていた？
思い出せない。
「……お前は、」
なんとか声を絞り出したが、言葉が続かない。
喉に詰まった言葉を、息にして吐き出す。
「……お前は、そんなことを言いに来たのか。あの時、俺がああ言ったから」
「……うん。私は諦めてない。あろまが30になるまでの10日間で私に惚れさせる」
「10日もいるつもりかよ」
「嫌ならその前に惚れてくれればいい」
挑戦的な、覚悟を決めた顔。
その無鉄砲な様子が、俺にはもうない若さを強調する。
「……勝手にしろ。俺は寝る」
ソファの背もたれに掛けた毛布を掴んで寝転ぶと、Aが急いで席を立つ。
「あろま、ベッド……」
「お前が使えって言ったべや。さっさと寝ろ」
毛布を頭からかぶって会話を遮断する。
しばらくそうしていると、Aがプリンを片付けて部屋に行く様子が聞き取れた。
ああ、イライラする。
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せとか(プロフ) - 碧鳴さん» 碧鳴さん前作に引き続き今作も読んでいただきありがとうございます。前作に増して特殊設定ですが楽しんでいただけると幸いです。 (2020年7月10日 13時) (
レス) id: 05c1f5cb14 (このIDを非表示/違反報告)
碧鳴(プロフ) - 新作…！！続き楽しみにしております (2020年7月10日 10時) (レス) id: e2ccf18f81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：せとか | 作成日時：2020年7月8日 18時
