【あろ.ま】 10年に一度の10日間 【M.S.SP】

4. 13年まえ　6さい ページ4

13年前。

「おにいちゃんみてみて！！」
「おー、すっげランドセルピッカピカ」
「まっかなランドセル！かわいい？」
「かわいいかわいい」

小学校1年生の初日。
キラキラの赤いランドセルを背負ってあろまお兄ちゃんの前でくるくる回って見せる。

ああ、これで私も晴れて小学生だ。
高校生のお兄ちゃんとはまだまだ差が開いているけれど、幼稚園児なんかに比べたらずっとずっと大人の仲間入り。

「これから、にゅーがくしきなの！」
「ん、いってらっしゃい」
「おにいちゃんもにゅーがくしき？」
「俺は高校2年生だから始業式。でも今日じゃなくて明日」

入学式と始業式の違いはよくわからなかったけど、お兄ちゃんが今日は学校に行かないということは理解した。

「じゃあかえってきたらあそべるね！」
「今日はダメ。えおえおと買い物行くから」
「えーー！わたしもいく！」
「お前入学式なんだろ。それにな、小学校の初めての日って大変なんだぞ。死ぬほど教科書持たされるからランドセルめっちゃ重いの。帰ってきたら疲れて寝ちゃうべ」
「そうなの？」
「そう。経験則」
「けーけんそく……」
「俺が小1のときそうだったってこと」

ふーん、そんなもんなんだ、と思いながらランドセルの肩紐をいじっていると母親に呼ばれて家を出発することになった。

「じゃあね、おにいちゃん！かえってきてじかんあったらあそぼうね！」
「はいはい。いってら」

結局その日は本当に大量の教科書を持たされてえんやこらえっさと持って変える羽目になり、帰宅するなり寝てしまう事態にはならなかったものの新しい環境で洗われまくったこともあって疲れて到底お兄ちゃんと遊べるような気力は残っていなかった。

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