28. イントロ-8 ページ28
正直に言います。
私、起きてました。
正確に言うと、あろまがドアを開けた音で目が覚めたけど、少し焦った色を見せながら私を呼ぶ声に少し意地悪してやろうと思って寝たふりをしていた。
そうしたら私の近くに来て髪を優しく触るもんだから、心臓が聞こえてしまうんじゃないだろうかというような音を刻み、あろまの手が耳に触れたときには思わず体が揺れてしまったのだ。
流石にたぬき寝入りを続けるのには限界があると思って目を開いたが、目の前にあろまの顔があるという状況にまた心臓が爆発しかけた。
小さい頃にでさえ、目が覚めたらあろまが目の前にいるというシチュエーションはなかったように思う。
これは凄い破壊力だ。
告げられた時間に素直に驚いたこともあって、急いでハンバーグを焼きに行くのを口実にさっとその場を離れた。
せっかくの機会がもったいない気もしたが、あんな体制のままいたら突然の供給量でおかしくなってしまう。
ベッドを断ったのだって、言葉通りの遠慮だけではなく「あろまのベッド」という場所に正気を保てないと思ったからなのだけど、そんな不純な理由を口にできるわけもなく、なんだかんだで言い負かされてしまった。
かと言って、まだ22時。
幼稚園児の頃の私ならともかく、まだ即座に寝るような時間ではない。
移動で疲れてはいたが仮眠もしたことだし、もう少し起きていよう。
でも、いつでも寝落ちできるようにシャワーはいただくか。
そんな軽い気持ちで風呂場へと向かった私は、浴室に入ってからようやく"あろまと同じシャンプーを使う"という事実に気づいてまた心にでっかい衝撃を受けて自爆することになるのである。
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せとか(プロフ) - 碧鳴さん» 碧鳴さん前作に引き続き今作も読んでいただきありがとうございます。前作に増して特殊設定ですが楽しんでいただけると幸いです。 (2020年7月10日 13時) (レス) id: 05c1f5cb14 (このIDを非表示/違反報告)
碧鳴(プロフ) - 新作…!!続き楽しみにしております (2020年7月10日 10時) (レス) id: e2ccf18f81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:せとか | 作成日時:2020年7月8日 18時