22. イントロ-2 (a視点) ページ22
Aがクール便を送ると言っていたので、いつでも中断できる作業をしながら待つ。
フルーツか、海産か。
正直少し楽しみにしていた。
だから予定時間にピンポンがなったとき、ああ来た来たと、普段確認する覗き穴も見ずにドアを開けた。
開けた先、そこには。
「……は？」
「く、クール便でーす」
Aがいた。
****
「……で？」
「怒ってる……」
「俺が怒ってるかはどーでもいいだろ、何してんだお前」
俺はソファに座り、床に正座させたAを見下ろす。
はるばる北海道から来たとは思えないぐらい荷物が少ない。
どう見たって、クール便で運ぶようなものを持っているようにも見えなかった。
俺に睨まれたAはしゅん、と縮こまる。
確かこいつは今19歳。
専門学校に行くと言っていたから、留年していなければ2年生。
化粧も覚えたようで、高校の頃の素朴な印象から少し垢抜けて見える。
鬼の顔は保ちつつ、あのチビが随分と大人になったもんだ……と思いを巡らせて、ふと、あることに気づく。
――こいつ、明日誕生日か？
20歳の誕生日なんて、親が一緒に飲みに行きたがる筆頭の日なのに、よく許してもらえたな。
いや、まさか。
嫌な予感が頭をもたげる。
「お前まさか家出……」
「ち、違うよ！ちゃんと親には言ってきた！」
「ほー？じゃお家にお電話してもよろしいんですね？」
う、とAが言葉に詰まった。
その狼狽っぷりに、ため息が出る。
「お前……」
「と、東京に行くって話はしたよ！就職関係と、あとついでに観光って言って……あろまのとこに行くとは言わなかったけど……」
いやいやいや。それが一番駄目だろ。
言葉の最後のほうは尻すぼみに、消え入りそうな声だ。
こいつは自分が二十歳手前の女であるということを自覚しているのだろうか。
いくら小さい頃からの近所のお兄さんとはいえ、ギリギリ未成年の少女を独身アラサー男の家に泊めるのはマズイ。
主に俺の社会的地位が危うい。
「とにかく、家に電話はするからな。お前はそこでおとなしく待ってろ」
「あっ、それだけは、あろまさん、あの、」
無視。
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せとか(プロフ) - 碧鳴さん» 碧鳴さん前作に引き続き今作も読んでいただきありがとうございます。前作に増して特殊設定ですが楽しんでいただけると幸いです。 (2020年7月10日 13時) (
レス) id: 05c1f5cb14 (このIDを非表示/違反報告)
碧鳴(プロフ) - 新作…！！続き楽しみにしております (2020年7月10日 10時) (レス) id: e2ccf18f81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：せとか | 作成日時：2020年7月8日 18時
