【あろ.ま】 10年に一度の10日間 【M.S.SP】

21. イントロダクション　19歳 ページ21

20歳の誕生日を明日に控えた日。

できるだけ身軽な荷物で、でも必要最低限なものとありったけのお金は握りしめて。

私は、空港に立っていた。


親には適当なことを言った。

就活と、観光を兼ね合わせて東京に行く。
止まる場所は、高校卒業後に上京した友人の家。
……10日間、というところは適当にごまかした。

自分でも無謀なことをしてるとわかっている。
数え切れないぐらいためらった。

でももうあとには引き返せない。


北海道を飛び立って、東京に降り立って。

わけのわからない路線図をにらんで、駅員さんにいろいろ聞いて、いろんな人にぶつかって。

目的の駅につく頃には体力もスマホの充電も瀕死状態だった。

ここはまだゴールではない。
むしろ目的を考えたらまだスタートラインにすらついていないと言えるほどだ。

ふらふらの足と情報過多でいっぱいいっぱいの脳に鞭打って目的地を目指す。
あろまが東京に行く直前に教えてくれた住所。

事前に「クール便送りたいから」と言って、確実にいる時間帯を確認済みである。

なんとか到着して、アパートのドアの前に立つ。
たどり着けたことに感動してしまうが、勝負はここからなのだ。

深呼吸をして、気分を落ち着かせて。


満を持して、ピンポンを押す。

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