19. 3年前-8 ページ19
赤崎には悪いけど、やっぱり私はあろま以外の人を好きになれる気がしない。
もう少し上手くやれたら違ったんだろうか。
あろまのことをすぐ忘れられたら。
年相応の人を好きになれたら。
お兄ちゃんを憧れのままでとどめておけたら。
……一目惚れなんて、しなければ。
そんな思いが脳内を掠めて、頭をブンブンと振って否定する。
この10年来の思いまで、なければよかったなんて思っていない。
どんなときだって思うのはあろまのこと。
"なにしてるかな"
"ご飯ちゃんと食べてるかな"
"あろまがこの歳のときはどんなだったのかな"
"あろまだったらどうしたかな"
辛いとき、こんな辛さもあろまはきっと乗り越えてきたんだろう、あろまだったら難なく乗り越えるんだろうという気持ちで自分を鼓舞した。
いつの日かあろまの横に立つに相応しい人間として成長するため。
それでも。それでも。
年齢差は縮まることはない。
いくら歳を重ねても。
どんなに大人の魅力を身につけられたとしても。
同年代になることはできないのだ。
……同年代。
ふと、その言葉が引っかかる。
あろまは同年代でいいやついるだろ、と言った。
あろま自身も同年代の人のほうがいい、とも言った。
――同年代って、いくつのこと?
アンケートの選択肢で、10代と言えば10歳から19歳、20代と言えば20歳から29歳の人が選ぶ項目だろう。
私は今は10代、あろまは20代。
16と26じゃ、同年代とは言い難い。
……でも。
10年に一度だけ。
私が20歳の誕生日を迎えてから、あろまが30歳の誕生日を迎えるまでの10日間。
その10年に一度の10日間、私はあろまと同じ"20代"でいられる。
私はもうそこに賭けるしか無い。
10年に一度、10日間。
それが私に与えられたチャンスの時間。
あなたはこじつけだと笑うだろうか。
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せとか(プロフ) - 碧鳴さん» 碧鳴さん前作に引き続き今作も読んでいただきありがとうございます。前作に増して特殊設定ですが楽しんでいただけると幸いです。 (2020年7月10日 13時) (レス) id: 05c1f5cb14 (このIDを非表示/違反報告)
碧鳴(プロフ) - 新作…!!続き楽しみにしております (2020年7月10日 10時) (レス) id: e2ccf18f81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:せとか | 作成日時:2020年7月8日 18時