16. 3年前-5 ページ16
結論から言うと、私は2週間という期間を設けて赤崎とお試しで付き合い始めた。
まぁ、なんか話してて悪いやつじゃないし、男子の中では仲いいのは本当だし。
あろまに振られてヤケになった部分もあったかもしれないけど、別にいいか、ぐらいの気持ちではあった。
かと言って何か特別なことをするわけでもなく、ほぼ休み時間話して放課後一緒に帰るぐらい。
一度だけ休日に一緒にでかけたが、普通に買い物してゲーセンで遊んで終わった。
そんな状態のまま、約束の2週間が目前に迫った日の帰り道。
普段は帰り道の分岐点で別れるのに、赤崎は無言で私の家の方へ歩き続けた。
家の通りへ入った頃、赤崎は口を開く。
「……そろそろ、2週間だけど」
「……そうだね」
「どう？」
歩みが止まり、お互いの顔を見る。
続きの言葉を聞かなくても何を聞こうとしているのかはわかっていた。
「俺と続けられそう？」
「……ううん、赤崎。ごめん。でもこのままは失礼だと思う」
あろまに少し似ていたって、あろま本人じゃない。
そんなの、あろまと私の年齢差以上に明らかなことだった。
むしろ少し似ている部分があるからこそ、違う箇所が目立ってしまう。
「ま、そうだよな」
そう告げると、私の目の前のお試し彼氏はあっさり引いた。
もめて引きずるようなやつではないと思ってはいたけれど、少し安心して小さく息を吐いた。
「あー、俺も後10年早く生まれてりゃ見込みあったんかなー」
それは私が10年以上前から何度も何度も繰り返し思っていたことだった。
10年早く生まれていれば。
同じ学校で、同じクラスで、同じ教室で。
同じ時代を、同じものを見て、生きられたのだろうか。
「……10年早く生まれてたら、私と知り合う機会ないよ」
「わーってるって。お前だって10歳年上だからそいつが好きなわけじゃないんだろ」
したっけ、また明日な、と言って赤崎は来た道を戻って行った。
また明日、という言葉にまだ友達として付き合うつもりがある様子が見られてまた少し安心する。
余計なことをしたかもしれない。
失礼なことだったかもしれない。
それでも私はあろまが好きなんだと再確認するには必要な2週間だったと思う。
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せとか(プロフ) - 碧鳴さん» 碧鳴さん前作に引き続き今作も読んでいただきありがとうございます。前作に増して特殊設定ですが楽しんでいただけると幸いです。 (2020年7月10日 13時) (
レス) id: 05c1f5cb14 (このIDを非表示/違反報告)
碧鳴(プロフ) - 新作…！！続き楽しみにしております (2020年7月10日 10時) (レス) id: e2ccf18f81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：せとか | 作成日時：2020年7月8日 18時
