15. 3年前-4 ページ15
「お前最近振られたってもっぱらの噂だぞ」
放課後、校門を出たところで後ろから声をかけて小走りでついてきた赤崎は開口一番そう言った。
飲みかけてたトマトジュースを取り落としそうになり、すんでのところでなんとか抑える。
「え、だ、だれが」
「いろんな人」
「……ばかじゃん、みんな色恋沙汰にしか興味ないわけ？もっとマシなことで盛り上がりなよ」
否定も肯定もせずにそっぽを向いた。
あろまに振られて1週間ほど経っているが、校内で修羅場ったわけでもないのによく噂が回るもんだ。
「駅前で年上のお兄さんとやり取りしてるとこ見た人がいるってさ」
赤崎は言葉を重ねる。
確かにあの日は放課後だったし、学校の駅ともなれば目撃者がいたってなにもおかしくない。
しくった、家の前で会ったんだからせめて庭とかにしとけばよかった。
そう考えながら、ズゴ、と残り少ない紙パックを啜る。
「年上好きとか体薄い人が好みとか言ってたの、ドンピシャな人なんだって？それ好みじゃなくてただ好きな人の特徴言っただけだろ」
「……別にいいでしょ、小さい頃からの近所のお兄さんに憧れてたって。てかあんたもよくそんなこと覚えてるね」
観念して白状した。
見られていた、となれば変に尾ひれがつく前に正直に振られたことを言ってしまったほうがいい。
今年度の頭にあった修学旅行の移動中、友人の執拗な問いかけにあった私は確かに好みのタイプとしてそういったことを口にした。
赤崎に指摘されてる通りあろまの特徴を挙げたにすぎなかったが、まぁ超太ってる人よりは細身の人が好きだし、あろまを見ていると同年代はどうも子供っぽく思えてしまっていたので年上のほうが好み、というのは多分間違っていない。
赤崎はグッと体を折り曲げて、下を向く私を覗き込んだ。
「……お前さ、あんま仲いい男子いるように見えねーし、その中じゃ俺そこそこ仲いい方だと思ってたし、俺もガタイいいほう全然じゃないし、まぁ年上ではねーけどさ、正直脈あると思ってたんだけど。俺じゃダメ？」
「……は、」
今度こそ滑り落ちそうになった紙パックが、赤崎の手によって私の手ごと包まれる。
私がジュースをしっかり持ち直せるように軽く力を入れてから離れた手はその後行き場をなくしたように宙をヒラ、と舞った。
「……まぁ、考えといて」
それだけ言って、爆弾を投下した問題児はさっさと立ち去ってしまった。
――私、今告白された？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 67人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
せとか(プロフ) - 碧鳴さん» 碧鳴さん前作に引き続き今作も読んでいただきありがとうございます。前作に増して特殊設定ですが楽しんでいただけると幸いです。 (2020年7月10日 13時) (
レス) id: 05c1f5cb14 (このIDを非表示/違反報告)
碧鳴(プロフ) - 新作…！！続き楽しみにしております (2020年7月10日 10時) (レス) id: e2ccf18f81 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：せとか | 作成日時：2020年7月8日 18時
