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12. 3年前 16歳 (a視点) ページ12

3年前。

あれから毎年盆と正月には帰省していたが、前のようにAと過ごすことはあまりなかった。
お互い無視し合うこともないし、ばったり会えば立ち話ぐらいはしていたが、わざわざ挨拶しに行く程でもない、そんな関係。

考えてみると、10個も離れた男女でここまで仲が良かったのが不思議なぐらいだ。
これが普通なのだろう。

ある日、昨年始めた実況活動で実家に置きっぱなしになっていた古いゲームが必要になり、予定外に帰省していた。
親にも連絡せずに帰ってきていたので少し驚かれたが、用事はゲームソフトだけなのだ。
目的のものを見つけて早々に撤退しようと家を出ると、そのタイミングで学校から帰ってきたらしいAと遭遇した。

「あれ、あろま?」
「……おお、久しぶり」

Aは昨年高校に上がっているはずだ。
盆と正月にしか帰省していないので、高校の制服姿で会うのは初めてだった。
さすがにもう、ドヤ顔で制服を自慢してくることはないようだったが。

「珍しいね」
「ちょっと家に置きっぱのもの取りに」
「そうなんだ」

久々に話すAは数年前に増してずいぶんと大人びていた。
昔のお兄ちゃん大好きっ子はひっそり成りを潜め、花の高校生としての人生を謳歌しているように見える。

「あろま、もう帰る?」
「おう」
「今日は車?」
「いや、電車」
「じゃ駅まで一緒に歩いてもいい?久しぶりに話したいな」

予想していなかったお願いに少し驚きながらも同意すると、カバン置いてくるからちょっと待ってて、と急いで家に引っ込んでまたすぐ出てきた。

「ランドセル置いて遊びに行く小学生か」
「ふふ」

適当な言葉で煽るとAは小さく笑った。

慣れた道を二人で歩きながら近況を話す。
最近はよくFBとえおえおとゲームしてる、という話をするとAは目を丸くした。

「凄い、私も高校で10年間ずっと遊び続けられる友達できるかなあ」
「共通の趣味とかあると続きやすいけどな」
「もう高2だからなあ。これっていう趣味もないし、今からそんな仲いい子できるかなあ」

できるできる、なんて適当に返事をした。

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せとか(プロフ) - 碧鳴さん» 碧鳴さん前作に引き続き今作も読んでいただきありがとうございます。前作に増して特殊設定ですが楽しんでいただけると幸いです。 (2020年7月10日 13時) (レス) id: 05c1f5cb14 (このIDを非表示/違反報告)
碧鳴(プロフ) - 新作…!!続き楽しみにしております (2020年7月10日 10時) (レス) id: e2ccf18f81 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:せとか | 作成日時:2020年7月8日 18時

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