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1. 14ねんまえ 5さい ページ1

10年に一度、10日間。

それが私に与えられたチャンスの時間。

私はここで決めなければいけない。



*******

14年前を思いだす。

「今度こちらに引っ越してきました。こっちは娘のA。よろしくお願いします。これ、つまらないものですがよかったら」
「ああ、どうもご丁寧に」

私が5歳のとき、新居を構えた我が家は新しいお隣さんにご挨拶に来ていた。

「A、ご挨拶して」
「……かっこいい……」
「は?」

そこで私は、いわゆる一目惚れってやつをしてしまったのだ。

新しいお家の隣に住む家族の長男さん。私より10個上で、高校生になったばかりのお兄ちゃん。あだ名はあろま、好きなものはゲーム。

引っ越してきたその日のうちに、私はあろまお兄ちゃんにくっついてそこまで聞き出した。両親は引っ越し作業の人手になるどころか足手まといでしかない5歳の娘を体よく家から追い払えたと思ったのか、私を完全にほったらかしてくれていたのも幸いだった。

あろまお兄ちゃんと一緒に庭で蟻の巣を眺めながら、なんとかしてもっとお兄ちゃんのことを知ろうとたくさんお話する。

「こうこうせい……おっきいねえ」
「5歳だとまだゲームとかやんねぇか」
「んー、ポケモンならしってる!わたしはもってないけどねえ、ようちえんのカズくんがもってたよ!あとテレビでみた!」
「おー、じゃ今度一緒にやるか」
「やる!!!」

あろまお兄ちゃんは優しくて、その日は日が暮れるまでずっと一緒にお話してくれていた。

「おにいちゃん、あしたもいっしょにあそんでくれる?」
「明日月曜だろ。お前、幼稚園は?」
「……ある!」
「俺が学校から帰って来る頃にはもうカラス鳴いてるだろ。また土曜日、お昼ご飯の後な」
「やくそく!」
「はいはい、約束約束」

あろまお兄ちゃんの大きな小指に、自分の小さな小指をがんばってひっかけて指切りをした。

2. 14ねんまえ-2→



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せとか(プロフ) - 碧鳴さん» 碧鳴さん前作に引き続き今作も読んでいただきありがとうございます。前作に増して特殊設定ですが楽しんでいただけると幸いです。 (2020年7月10日 13時) (レス) id: 05c1f5cb14 (このIDを非表示/違反報告)
碧鳴(プロフ) - 新作…!!続き楽しみにしております (2020年7月10日 10時) (レス) id: e2ccf18f81 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:せとか | 作成日時:2020年7月8日 18時

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