面影 其ノ弐拾参 ページ29
Aは木から木へと飛び移ったりして、次々とくる攻撃を避けていた。
(こんなのきりがない。・・・腕を斬り落とせたら・・・)
Aは地面に降り、刀の鍔に手をかけた。
「・・・はあ、はあ」
だが、汗が吹き出し、手が震えて抜けない・・・。
・・・「錆兎！戻ってきて！」
鍔に手をかければ、何度も浮かんでくるあの時の情景。
また誰かを失ってしまいそうで・・・。
その瞬間、鬼の拳が降りかかってきて、Aは弾き飛ばされた。
(しまった！)
地面に打ち付けられ、見上げると鬼の姿。
(もう、駄目・・・)
ーー「全集中。水の呼吸、拾壱ノ型・・・・・凪。」
Aの目の前に広がる水の舞。
(これは・・・。あの時・・・)
ふと、脳裏に昔のことが浮かんだ。
ーー水の呼吸、肆ノ型。打ち潮
(錆兎に助けられた時だ・・・)
目を開けると、そこには葡萄色と亀甲柄の半々羽織。
「大丈夫か。A」
「・・・！」
その男は振り向いた。
光のない澄んだ青色の目。白く整った顔・・・。
「義勇！」
義勇は鬼に向き直り、刀を構えた。
「水の呼吸、壱ノ型。水面斬り」
水が漂ったかと思うと、前には斬り落とされた鬼の片腕があった。
「すごい・・・」
次の瞬間、鬼が高く飛び跳ね、森の奥へと消えていった。
「怪我はないか」
刀をおさめた義勇は、振り返って手を差し伸べた。
「うん、ありがとう」
Aは手を掴み、立ち上がった。
ーー鬼殺隊入隊後、話すことも、顔を合わせることもなかった義勇。
昔のようなどこか気弱そうなところは抜け、
すっかり男らしくなっていた。
前は同じぐらいだった身長も、今は義勇の方がはるかに高い。
「義勇、かっこよくなったね」
「・・・。Aも綺麗になったな、」
少し照れたのか、義勇は視線を下にずらした。
「・・・。この先は強力な鬼がいて危険だ。お前は怪我人のところへ戻れ。
俺は、あの鬼を追いかける」
「あ、ちょっと待って！」
Aの呼びかけも応じず、義勇は山の奥へと姿を消した。
「・・・戻ろうか」
Aは隊服についた砂をはらうと、来た道を歩いていった。
義勇は刀に手をかけながら、鬼を追いかけて走っていた。
(Aが戦えなくなったのは、俺のせいだ。俺が怯えたからだ。
・・・あいつに合わせる顔などない)
そしてはるか向こうは、先程の鬼と、猪の被り物をかぶった少年が対峙していた。
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レベ - 占ツクの作品で感動したのこの作品が初めて！錆兎と結衣←（わたしの夢主の名前です）来世とかキメツ学園とかで結ばれますように……！！ (2022年11月16日 15時) (
レス) @page24 id: ea3111d08d (このIDを非表示/違反報告)
組紐屋の夜桜 - ゆりさん、コメありがとうございます！ぜひ！落ち着いたら見てみますね。 (2022年3月3日 23時) (レス) id: 89f56691f5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり - 組紐屋の夜桜さん、良かったら私の作品を見てみてください。 (2022年2月28日 17時) (レス) @page3 id: b7d6d649b3 (このIDを非表示/違反報告)
組紐屋の夜桜 - ありがとうございます！励みになります！ (2021年10月8日 21時) (レス) id: 89f56691f5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり - そうですね😃頑張ってください。応募していますね😃 (2021年10月6日 23時) (レス) @page3 id: b7d6d649b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：組紐屋の夜桜 | 作成日時：2021年8月27日 22時
