検索窓
今日:6 hit、昨日:22 hit、合計:21,036 hit

藤襲山へ     其ノ拾肆 ページ18

夜が明けて早朝。

Aは黒髪を高く結い上げ、赤い組紐で結んだ。

そして、桃色の着物に濃い紫色の袴を履く。

「A、そろそろ」

「うん、」

錆兎が呼びに来て、Aは部屋の障子を開けた。


三人は刀を腰に差し、鱗滝と向かい合って戸の前に立った。

と、鱗滝が三つのお面を取り出した。

「これはわしが昨夜彫った面だ。・・・これで鬼から守ってくれるだろう」

三人はそれぞれお面を受け取った。

Aはもらった面を見た。左耳に組紐の模様があり、右頬に桜の花が描かれていた。

「藤襲山には想像を超える強い鬼もいるかもしれない。だが諦めず、必ず生きて戻ってこい」

「はい!」

行くか、と錆兎と義勇は背を向けた。

「行ってきます。鱗滝さん」

Aは頭を下げ、二人の後を追いかけた。


「健闘を祈る・・・」


ーー

三人は上へと続く階段を登っていた。

「藤の花がたくさん咲いてる・・・」

Aは辺りを見回した。

「ここからは鬼が生け捕りにされている場所だから、外に出られないようにするためだろう」

階段を登りきり、上に着くと何人もの少年少女が集まっていた。

「この先が、鬼のいるところ・・・」

義勇が不安そうにつぶやいた。

「義勇、弱音を吐いちゃだめ。今までの鍛錬を生かして頑張ろう?」

「Aの言うとおりだ。義勇、自信を持て」

義勇は深く深呼吸をし、落ち着いた表情を見せた。


 ーー最終選別の合格条件は、山の中で七日間、生き抜くこと・・・

それだけをきかされ、ここにいるみんなは山の中に入った。

少しだけ進むと、錆兎が振り返った。

「ここから先は、別れて行動しよう」

Aと義勇は頷いた。

そして、それぞれの手を重なり合わせた。

「二人とも、必ず生きて会おう。そして、全力を出して戦おう」

「うん、錆兎と義勇もね」

「七日後、また三人で戦い抜いた顔を合わせよう」

背を向けて、違う道を歩き出した。



ーーあんな未来になるなんて、まだ誰も知りはしなかった・・・。

最終選別     其ノ拾伍→←あなたのことが  其ノ拾参



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (31 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
47人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

レベ - 占ツクの作品で感動したのこの作品が初めて!錆兎と結衣←(わたしの夢主の名前です)来世とかキメツ学園とかで結ばれますように……!! (2022年11月16日 15時) (レス) @page24 id: ea3111d08d (このIDを非表示/違反報告)
組紐屋の夜桜 - ゆりさん、コメありがとうございます!ぜひ!落ち着いたら見てみますね。 (2022年3月3日 23時) (レス) id: 89f56691f5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり - 組紐屋の夜桜さん、良かったら私の作品を見てみてください。 (2022年2月28日 17時) (レス) @page3 id: b7d6d649b3 (このIDを非表示/違反報告)
組紐屋の夜桜 - ありがとうございます!励みになります! (2021年10月8日 21時) (レス) id: 89f56691f5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり - そうですね😃頑張ってください。応募していますね😃 (2021年10月6日 23時) (レス) @page3 id: b7d6d649b3 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:組紐屋の夜桜 | 作成日時:2021年8月27日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。