"REASON"2

ねえキャップ、 ページ9

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「…ニュースで見たよな？」




14時過ぎに、震えたiPhone。
電話越しに聞く勇人の声。少しだけ緊張の色が混じっている。



「キャプテンだね。」

「自信ない、いや、やってさ。阿部さんが今までやってた役をいきなり俺やで？
最年少タイらしいし、俺ただのクソガキやん」



いつも自信を絶やさずに持ちつづけて、エラーをしても、盗塁失敗しても、三振に倒れてもフィールドに立ち続けた勇人。
食事前の数分だけ、と選手の輪を抜けて、ハワイから一人私に電話をかけてきた。犬か。



「だからさぁ、言ったじゃん…最初に会った時。坂本勇人は絶対日本球界のお顔になるよーって。私、天才だよね」


「いや(笑)俺が成績いいからやんかそれ」


「うん、だから心配ないんだよみんな。」

　


電話口の向こうからの声が静まって、完全に私のターン。
「いつか勇人のCマーク、触らせてね？」ってかわいこぶって言ってみればシーズン終わったらユニフォームあげるとか言われました。


そういうことちゃうねん、、と私の心の中の勇人さんが叫んでいますけども。




「次のハワイは、奥さんとしてついてきてもらうで。俺らが日本一に絶対なるから」





「……」







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(#6 side)


1人でずっと悶々としてて、ハワイアンディナーショーの前にAに電話しよって思った。

電話口からキャプテンだね、と冷静にAの声。
相変わらず透き通っていながら凛としていて、ほんまキレイな声。



俺のこと、ずっと見てきてくれて応援してくれて、背中を最後にここぞ！って押してくれる俺の大事な大事な可愛い女。






「Cマーク触らせてねっ？♡」って言われて勇人くんずっきゅんやわ。

かわいすぎるやろ、ほんまあざとい。そういうところも好きやし。








「次のハワイは、奥さんとしてついてきてもらうで。俺らが日本一に絶対なるから」



ってお返しに言ってやれば、電話の向こうのAのヒュッって喉が鳴っているのが聞こえた。

俺の言葉と声だけでこんなにも俺のことしか考えられへんくなるとか、ほんま可愛いやつ。




「…パスポート更新ちゃんと行っておくね。いや、坂本さんに変わるまで待ったほうがいい？」




こいつの方が、一枚上手やった。







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