"REASON"

2 ページ2

.




ボーイさんにドンペリの白で、と耳打ちをしてまた体の向きを入野様へと。
お酒が届いて一口それを飲んで。野球トークの他にも会社のお話を、となっていた時にボーイさんからすみません、と声をかけられる。


「今度は本指名でいらしてくださいね」

と得意の営業スマイルを貼り付けて大好きなシャネルのマトラッセを持って席を立つ。
"大型犬"がやってきたみたい。犬、というか推し、というか。
ボーイさんに案内されていつもVIPルームへの階段を上がる。ヒールにも歩きやすいような建物にしとけよ、なんて何回も思っている。


こちらです、と通されたドアの先にどかっと座っていた男。


「伊織やっときた！」


先ほどの話題に上がった、大型犬こと、坂本勇人である。



「伊織、何飲みたい？」


いや烏龍茶って答えたくなるノリで聞かないで。
サービスのフルーツです、って膝にクッションを置いてその上にプレートを置いた。いちごを摘んで召し上がりますか？と聞けばとりあえず飲みものやろ、と正論かましながらも、口を開けてくれた。うさぎみたい。


「ん、おいしい……で、決まった？」


これは予測だけど。今日の坂本は、金づかいが荒い。
なんとなくだけど推しのお金が私に使われるって気分はあまり好きではない。自分のお金で推しにも少し年俸としてお金が回るのは許せるにしても、推しのお金で自分が生活するなんて。しかも高額キャッシュバック。



「……坂本様が飲みたいもので」

「じゃあドンペリのP3」

「坂本様のお好きなお酒とは記憶していませんが、」



ええから、ってボーイさんを呼んでオーダーを通して。
100万円が飛んでいく感覚もこの人のせいで慣れたし怖いものだと思う。







.

評価やお気に入り登録、ハートなどモチベになりますのでよければお願いいたします汗

3→←1

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す