第五十六話「求めていた」 ページ7
━━━━━━
━━━
━
『慥かに私はフリフリの可愛らしい私サイズのドレスあるかと聞きましたが』
目の前には何十着のドレス。
様々な色、形のドレスが床に散らばっている。
「この赤のドレスなんかどう?きっと舞姫ちゃんに似合う……あ、待ってこっちの青もいい」
「何云ってるの森さん。絶対に黒がいい。白も捨て難いけどやっぱり黒!」
『……あぁとえぇと』
何故、ドレスがこんなにもあるんだ?
それとドレスは私に選ばせてくれないのね?
そして私的にはそんな派手な色より淡い落ち着いた色がいいんだけど。
「私はこれがマキに似合うと思うわ!」
ちゃっかりエリスも参加している。
そして彼女が持っていたドレスは私の好みのものだった。
『……薄ピンクのフレアドレス。デザインも私好み……
うん、これがいい!ありがとう、エリスちゃん!』
「ふふ、マキの為に選んだもの。どっかの誰かさんみたいに自分勝手に選んだんじゃないわ!」
エリスの声に男二人はピクリと肩を震わせた。
『流石はエリスちゃん』
「マキの為ならお易い御用よ」
ギュッと抱き合うとどこかからシャッター音が聞こえた。
……うん、森だな。
「ちょっと森さん!僕にもその写真頂戴!」
「え〜、これは私だけの永久保存にしたいんだけどなぁ」
やいのやいのと二人が云い争っているのを私は可笑しくて笑いながら眺める。
────これがこの子の求めていた
何でこの光景を見ているのが私なのだろう。
ふとそう思いながらエリスに抱き着く。
この場所は私ではない。
本当ならばこの子が倖せそうに笑っていた場所。
この子には倖せを掴んで欲しい……
そう思うのは私のエゴなのだろうか?
━━━━━
━━
━
ドレス選びが終わり、自分の部屋に帰った。
自分の部屋というのは森が与えてくれた高級マンションのこと。
『この子の魂がどこかに行った原因が異能によるものなら、また異能によって元に戻るんじゃないのか?』
魂を解放する異能があるのならば
魂を戻す異能もあるかもしれない
『……となると』
矢張り、あの魔人に逢うしかないのか。
嫌すぎる、逢いたくない、顔も見たくないしなんなら思い出したくもなかった。
『……はぁ』
こんな事考えてると太宰に怒られそうだけどこれは私の人生だ、好きにやろう。
そう心に決めた。
.
678人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:らしろ | 作成日時:2020年8月10日 1時