第六十六話「デェト追加」 ページ17
「うん、うん……やっぱりAの料理は絶品だね」
太宰は私の作った料理を食べながら凄く倖せそうに頷く。
『ありがとう。今度、森さんにも作ろうと思うんだけど何がいいかな』
「は?その辺の雑草でいいんじゃない」
『そんなこと云わないの』
太宰に聞いた私が莫迦でした。
最近の森は仕事やら部下の信用を得らなくてはいけないやらで相当疲労が溜まっているようだから、体に優しいものがいいよね。
「ねぇ、森さんのことばかり考えないでよ」
『はいはい、ごめん』
「うわぁ誠意が籠ってない。罰として遊園地デェト追加ね」
『……それは罰なの?』
遊園地なんて久し振りに聞いた。
最後に行ったのはいつだったか?
小学生の時……?
「それから、水族館に行って、旅館に泊まって夜にはイチャイチャ……」
『しません』
まだそんな事を考えていたのか此奴。
もうとっくに諦めたと思ったのに。
「Aは何処に行きたい?」
『……うぅん』
急に何処と云われてもぱっと思いつかない。
あ、でも強いて云うのなら……
『……BAR』
「BAR?」
『そう、ルパンっていうBARに行ってみたい』
「じゃあ行こう」
『……私達はまだ未成年だよ』
「行くだけタダだよ」
慥かにそうだと頷く。
太宰治と織田作之助と坂口安吾が酒を交わしたあの場所に行けるだけで少しワクワクする。
「場所は判るの?」
『……いいや、判んない』
「じゃあ調べとく。誕生日の日に行こうね」
───貴女の誕生日、日付が変わる頃に浜辺で待っています。
一瞬、返事に戸惑った。
私は気付かれないように笑顔で返事をした。
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『またか』
「さぁおいで!」
目の前には夕食を済ませ、ちゃっかりお風呂に入って、私のベッドに潜り込んだ太宰がきらきらの瞳で此方に両手を広げていた。
『いい加減、私の家で寝ないでよ』
「人肌恋しいの」
『森さんと寝ればいいのに』
「おぇ」
『……はぁ全く。背中向けて寝てよ?絶対にだよ?』
そう云って太宰をベッドの端に押す。
ブーブー云っているが何も聞こえない。
此処は私の家、私のベッド。
何をするにも私の自由だ。
「Aって本当に手強いよね」
『はいはいそうだね』
「そういえば今日は何してたの?」
『普通にまた街の散策』
私は横になって目を瞑った。
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作者名:らしろ | 作成日時:2020年8月10日 1時