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第七十三話「いつかまた」 ページ24

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××年後────




海の見える墓地。



そこに一人の青年がいた。



鷲色の蓬髪が風に揺れる。





「……行ってくるね、織田作、A」




花束を置いて墓石に微笑む。




「あ、見つけた!」




後ろから最近入社した少年の声が聞こえた。




「こんな所にいたんですね……ってお墓参りですか」




少年は手を合わせて目を瞑る。

青年は少し笑った。




「君とこの二人を逢わせてみたかったよ。特にAと」



「A……さん、もしかして彼女さんですか」



「……そうだよって云えたらよかったな」




青年の呟きは少年には聞こえなかった。

少年が首を傾げているとハッと思い出したかのように慌てだした。




「は、早く行かないと国木田さんが怒ってましたよ!」



「あはは、それは嫌だなぁ。じゃあ川に飛び込むか」



「やめてください!」




行きますよ!と少年は腕を引く。


それを青年は笑いながらついて行く。




「敦君」



「何ですか?」



「黒髪黒目の美人さんが居たら私に紹介してね」



「えぇ……」




突然の青年の言葉に少年は引くが彼は本気だった。




「いつかまた逢える気がしてならないんだよ」



「……Aさん、ですか?」



「そう」




心地の良い風が吹く。






────きっと彼等が再び逢う日は近いかもしれない。




END.

あとがき→←第七十二話「護らせて」



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作者名:らしろ | 作成日時:2020年8月10日 1時

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