第九十八話『自信ヲ持ッテ』 ページ18
太宰の前には美味しそうなオムライス
芥川は珈琲を飲みながらじっと太宰を見詰める
太「いやぁ、オムライスなんて久し振りだねえ。凄く美味しい!」
『お粗末さまです』
向かいの席に座って満足そうに微笑む太宰
結局、昼飯を作るあたり芥川も彼に甘い
『……それで?此処へ来た本当の理由は何でしょう』
太「何だと思う?」
珈琲を一口飲んで口を開く
『探偵社員がノコノコとマフィア幹部の自宅に来るくらいですから、相当重大な話かと思います』
太「そう。単刀直入に聞くよ、君は魔人と知り合いかい?」
『ブッ……』
コップに縁に口を当て飲もうとした時にこの質問
噎せるところだった、危ない
『……まあ、何度か逢った事はあります』
太「なら、君の正体が“純白ノ番人”という事は異国の組織にも知れ渡っている可能性があるね」
確かにそうかもしれない
組合の長、フィッツジェラルドは芥川が“純白ノ番人”と知っていた
“彼奴”から聞いたと云っていたが───
『やはりあの時に膾切りにすれば善かったな』
太「へえ、詳しく聞こうか」
その後、半ば無理やり吐かされた
四年前も一度会ったことがあると云えば、太宰は笑った
でも目元は笑っていなかった。久し振りに彼が怖いと感じた
太「じゃあ、そろそろ行くよ」
『もう昼過ぎだ。どれだけサボっているんだ。国木田に説教されろ』
太「なんか君、何時の間にか色んな人と親睦深めているよね」
『……気の所為だ』
そう、気の所為でありたい
敦と人生について語ったり、ナオミときょうだいについて話したり、国木田と事件を解決したり……あれ?
『否、明らかに可笑しい』
太「何がだい?」
『貴方の脳内』
太「絶対に思っている事と口に出した言葉は違うよね」
ご馳走様、と笑顔で立ち上がって玄関へ向かう彼の背中を追いかける
太「このまま君も来るかい?」
『いえ、私の居場所は此処なので無理です』
四年前とは違う。自信を持って断った
太宰は少し残念そうな表情だったが、ごねたりせずにすんなりと出て行った
『……』
しん……と静まる部屋。別に彼奴が帰ったから寂しいだなんて思わない
『銀はまた本部で寝泊まりすると云っていたからな。暫くは此処には帰って来れんな』
矢張り、自分と銀との二人で住むには広すぎる
切り替えて片付けを始める
カチャと食器の音が広い部屋に嫌に響いたのだった
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第九十九話『怪力少年ト万引キ犯ト狗』→←第九十七話『寂シイハ違ウ』
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らしろ(プロフ) - Regulusさん» コメントありがとうございます。楽しみにして下さり嬉しいです。頑張ります(*^^*) (2019年6月19日 20時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
Regulus(プロフ) - このお話大好きです(*≧ω≦)続き楽しみに待ってます!更新頑張ってください(*≧∀≦*) (2019年6月15日 6時) (レス) id: 9c91fd3a1d (このIDを非表示/違反報告)
光牙(プロフ) - 私的には太宰オチがいいな〜。個人の意見なんで気にしないでくんさい。そして更新がんばれ!応援してます(^ー^)ノ (2018年12月11日 21時) (レス) id: bfcb6bfd1c (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - Lamia0495さん» コメントありがとうございます。オチはまだ未定ですが、色々考えてみます( ^^ ) (2018年9月12日 0時) (レス) id: 8b3e2d1361 (このIDを非表示/違反報告)
Lamia0495(プロフ) - 敦くんオチ…だったらいいなぁ… (2018年9月11日 20時) (レス) id: a731b4f87b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らしろ | 作成日時:2018年9月8日 18時