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第九十三話『独リ歩厶』 ページ13

与謝野はこの時間は購い物で駅にいる事は手帳に書いていたらしい



あの音響手榴弾は彼女に知らせる為だったようで、桂はそれを知って項垂れていた




文「ホンマにもう……助けが間に合わんかったらどないするつもりやったんか」




文は怖かったのか芥川の手を両手で握りながら、少し震える声で国木田に云う




国「云っただろう。“俺の眼前で誰も死なせない”とな」




桂の後ろから軍警がやって来て捕える
彼の表情は何処か諦めたようなそれでいてスッキリしたような顔だった




『……敵わないと思ったんだろうな』



文「なあ、芥川」



『やめろ、此処でその名を口にするな。下の名前は……“A”だ』



文「……!なあ、A!手を握ってくれてありがとう!」



『……五月蝿い、“さん”を付けろ“さん”を』



文「なんや?照れてるん?可愛いなァガッ!叩くことないやろ!?」




そろそろ此処を離れないと拙いな
警察が増えてきている




文「……また会えるんかなぁ」



『……さあ』



文「また会えたらええな」



『会えたら……いいな』




文はその言葉で満足したらしく芥川の手を離して手を振った
芥川は少し微笑んで野次馬に溶け込んで行った








『与謝野女医。治療と白い外套をありがとうございました』




人混みを抜けた先に買い物袋を持った与謝野が居た
お礼を云う為、話し掛けた




与「ああ、いいンだよ。災難だったねェ」



『……慣れているから問題無い。それにしてもこの白い外套が僕のだって善く気付きましたね』



与「向かう途中でその外套を持っている駅員とすれ違ってね。なんか見た事あるなと思って話しかけたンだよ」




タグのところに“ねえちゃん”と書いてあったらしい




与「子どもが書いた字だったよ。その字が書いてあったから芥川のだって気付いたンだよ」




タグを見てみると、お世辞で上手いとは云えないが“ねえちゃん”と少し薄れた字があった




『この字は、妹です。でも何故それを知って……』



与「二年前に探偵社に来ただろう?その時に見つけたのさ」



『え』




真逆覚えていたなんて思っていなかった
与謝野と別れ樋口に連絡する


途中、芥川同様ボロボロの格好の国木田が一人で歩いているのを見つけた




『独り歩む……か』




そう呟いて路地裏へ向かったのだった


.

第九十四話『何方ガ好ミ』→←第九十二話『理想ヲ求メル』



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らしろ(プロフ) - Regulusさん» コメントありがとうございます。楽しみにして下さり嬉しいです。頑張ります(*^^*) (2019年6月19日 20時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
Regulus(プロフ) - このお話大好きです(*≧ω≦)続き楽しみに待ってます!更新頑張ってください(*≧∀≦*) (2019年6月15日 6時) (レス) id: 9c91fd3a1d (このIDを非表示/違反報告)
光牙(プロフ) - 私的には太宰オチがいいな〜。個人の意見なんで気にしないでくんさい。そして更新がんばれ!応援してます(^ー^)ノ (2018年12月11日 21時) (レス) id: bfcb6bfd1c (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - Lamia0495さん» コメントありがとうございます。オチはまだ未定ですが、色々考えてみます( ^^ ) (2018年9月12日 0時) (レス) id: 8b3e2d1361 (このIDを非表示/違反報告)
Lamia0495(プロフ) - 敦くんオチ…だったらいいなぁ… (2018年9月11日 20時) (レス) id: a731b4f87b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:らしろ | 作成日時:2018年9月8日 18時

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