漆黒の狗は原作を知らない為困っているそうです3【文スト】【芥川成り代わり】

第××話『アノ日ノ記憶“参”』 ページ40

陽が完全に落ち､闇に包まれた港




『ゴホッゴホッ……』




黒い外套に身を包んだ影がゆっくりとマフィアの倉庫に近付く




────ガサッ､ガタガタッ！




足を止め音のするほうへと視線を向ける
目を凝らして見ると数人の影が倉庫の入口付近で屯していた




『(彼奴等か……)』




咳をしながら倉庫入口へと近付く
すると芥川の咳と足音で判ったのだろう､数名が此方を向いた




｢Ты кто?｣



｢Члены мафии? Я хочу попросить вас｣



『……ん？済まん､何云ってるか判らん｡首領の命令で貴様等を排除する』




自分は日本語しか受けつけぬ！と目の前の人を斬り殺す｡辺り一面に血の匂いが漂う
電話一本で掃除屋を呼び､白い外套に着替えて結んでいた髪を解きその場を後にした






***





潮風が頬を流れる




太宰は青く輝く満月をじっと見つめていた
これで終わり｡今日でマフィアともお別れだ


それと同時に彼女とも逢えないことになる




太｢胸が張り裂けそうだよ……Aちゃん｣




太宰の元に数名の黒服が近付く




｢太宰幹部､見張りからです｡スーツを着た者が現れたそうです｣



太｢……一人だけか｣



｢……っ､いえ！新たに報告が……もう一人､フードを被った人物がアタッシュケースを持ち､スーツの男に近付きました｣



太｢では､その二人を取り押さえろ｣




ザッと一斉に黒服が動き出す
太宰は唯､月を見上げているだけ




『太宰さん､お待たせしました』



太｢デェトで女性を待つのに六時間も待った男だよ？この位で遅いとは思わないよ｣



『して､その女性とは？』



太｢君の事だからね！？｣



『デェトに誘われた覚えはないです｡勝手に行って勝手に待っていたのは貴方でしょう？』



太｢ふふ､それでも君はちゃんと来てく｣



『黙れ､早く行くぞ』




太宰の言葉を遮り､背を向け歩き出す
彼は目を細めて嬉しそうについて行く




太｢如何やって此処を離れるの？｣



『車です』



太｢じゃあ私が運転するよ！｣



『貴方が運転すると一瞬､黄泉の国かと錯覚してしまいます』



太｢いいなぁ､黄泉の国かぁ……｣




呟く太宰の言葉に反応するかのように携帯が鳴った
面倒臭そうに通話をする太宰に芥川は月を見上げて待つ




太｢……Aちゃん｡ちょっと緊急事態だ｣




通話を切り､芥川の手を取って早足になる




太｢敵は二人じゃなかった｣



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