第八十三話『情報提供者』 ページ3
『済まない、広津殿。助かった』
広「いいえ。その資料で宜しかったですか?」
『……ん、十分だ。あぁ、奥の路地に組合の残党がビクビクしながら殺されるのを待っている。行ってやってくれるか?』
広「御意。後はお任せ下さい」
黒服を連れて路地裏に姿を消す広津達
時間を確認してげっ、と思わず声が漏れる
『あと十分で十四時になってしまう』
羅生門を遣って建物の上を飛び越えていけば間に合うか……
資料を落とさぬようしっかりと抱え飛び上がった
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━
河川敷にある巨大空き倉庫
ギリギリ時間に間に合い資料に素早く目を通す
『……案外、あの院長は悪い奴じゃなかったということか』
まあ、だからといって敦にやった地獄のような仕打ちは目に余るものがあるが……
……ビチャ、と音と共に人の気配がした
資料を封筒に入れて柱の影から誰が来たか確認する
『……なんだお前か』
敦「なっ、芥川!?」
ため息をついて彼に近付く
真逆、敦が来るとは思わなかった……あの糞青鯖め
彼は驚いた顔をしていたが茶色い封筒を目にして、やっと状況を理解した
敦「お前が“情報提供者”?」
『そうだ。ほら、お前の知りたいことが事細かく書かれてある資料だ。それと其奴は事故死だ』
敦「何?」
資料を渡して詳しく説明する
院長先生は商人に銃を売り、そのお金で何かを購う予定だったらしい
敦「購う?何を?」
『それはその資料を見て己で考えろ
まあ、僕が思うに決してお前を殺しに来た訳では無い……唯、其奴はお前を激励に来ただけだろう』
敦「激励……だと?そんな筈は無い、だって彼の人は……ッ!」
『だからそれは……その資料を見て云え』
肩を震わす敦にため息をついて背を向け歩き出す
敦「だっ、て……」
事故死が信じられないのか
はたまた自分を殺す為に銃を持っていたと思われたが違うと判って安心したのか
……まあ、後者だろう
だが───
『その涙はまだ流すな。それは今、流すものじゃない』
敦「……え?」
『だから、その涙は資料を見てから流すといい。何度も云わせるな』
足を進めると「ちょっと待て!」と呼び止められる
……面倒臭いッ
『……何だ』
敦「……その」
『早く云え、優柔不断野郎』
敦「……ぐっ。だからその、お前がよかったら───」
最後の言葉を聞いて芥川は判りやすく厭な顔をした
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らしろ(プロフ) - Regulusさん» コメントありがとうございます。楽しみにして下さり嬉しいです。頑張ります(*^^*) (2019年6月19日 20時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
Regulus(プロフ) - このお話大好きです(*≧ω≦)続き楽しみに待ってます!更新頑張ってください(*≧∀≦*) (2019年6月15日 6時) (レス) id: 9c91fd3a1d (このIDを非表示/違反報告)
光牙(プロフ) - 私的には太宰オチがいいな〜。個人の意見なんで気にしないでくんさい。そして更新がんばれ!応援してます(^ー^)ノ (2018年12月11日 21時) (レス) id: bfcb6bfd1c (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - Lamia0495さん» コメントありがとうございます。オチはまだ未定ですが、色々考えてみます( ^^ ) (2018年9月12日 0時) (レス) id: 8b3e2d1361 (このIDを非表示/違反報告)
Lamia0495(プロフ) - 敦くんオチ…だったらいいなぁ… (2018年9月11日 20時) (レス) id: a731b4f87b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らしろ | 作成日時:2018年9月8日 18時