第二百四話『ソレデイイ』 ページ47
『……どこまで着いてくるんですか』
太「地の果てまで」
『……冗談はやめてください』
太「本気なんだけどねぇ」
風が頬に当たる。
ふと隣で歩いている太宰の肩が高くなっていることに気づく。
『……身長、伸びました?』
太「ん〜少し伸びたかな」
『……そうですか』
……会話が続かない。
しんと沈黙が襲い、なんだか車の中よりも気まずい。
『……あの、僕は本部に』
太「今夜、暇だろう」
『……明日は朝早いので』
太「少しだけ話そう」
『……そ、それはまた次の機会で』
太「……Aちゃん」
太宰が芥川の腕を掴んで行かせまいとする。
相変わらず細い腕に太宰は少し驚いて力を弛めた。
『……離して、ください』
太「君がこっちを見いてくれたら離す」
『……見れ……ませ、ん』
震えた声が芥川の口から漏れる。
今にも泣き出しそうな顔を太宰に見せるわけにはいかない。
太「……私は少しずつだが頑張ってるよ」
『……知って……ます』
太「人を救えるように……仲間と共に頑張ってる」
『……ええ、知ってます……よ?』
太宰は原作で知っての通り人を救う側になっている。
彼の人に云われた通りに頑張っている。
太「Aちゃん」
『……っ、だから……名前で……呼ぶな……と』
太「ありがとう」
ポタポタと涙の粒が地面に落ちる。
自分は感謝される人間ではない。
それなのにお礼なんて……
太「今はそれだけ。それだけを云いに来た」
芥川はゆっくりと振り返る。
相変わらずの整った顔。
少し大人びた彼の瞳は柔らかくて温かくて優しかった。
『……っ、よかった……本当に……よかった』
この結果が原作通りなのかは判らない。
けれども太宰の光の籠った瞳を見たら
────それでいい、と思えた。
こうして彼女の知らぬ間に“黒の時代”は終わり
新たな幕開けとなる
───“原作”が始まるのであった。
……To be continued.
たくさんの評価ありがとうございます。
次からは番外編となります。
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アニヲタ(プロフ) - 少し遅くなりましたが最近(?)20巻発売されましたね!私はもう…ショックが酷くて読んだ後一週間位病んでました笑更新再開ずっと気長に待ってます!無理の無いご自分のペースで書いてくださいね…!ずっとずっと待ってます! (2021年1月11日 22時) (レス) id: 71f36505fa (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - アニヲタさん» いえいえ、リクがありましたら可能な限り受け付けます。お時間が掛かるかもしれませんが、、、でっぷるは映画で一度見たきりなのであまり詳しく覚えてないです、、小説は友人に貸して帰ってこないんですよ笑 (2020年7月30日 3時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
アニヲタ(プロフ) - 厭々!!!リク受けて下さるだけでも十分過ぎるのにぃ…マジで有難う御座います…!実は私もでっぷる編全く、これっぽちも知らんのですよねぇ...。 (2020年7月28日 18時) (レス) id: a9a289fd68 (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - アニヲタさん» コメントありがとうございます。でっぷる編ですが今、手元に小説がない状況でして書くことが出来ないんです、申し訳ないです、、、リク希望ありがとうございます。時間が掛かるかもしれませんが、受付致します。 (2020年7月28日 18時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
アニヲタ(プロフ) - あのぅ…でっぷる編書くご予定はありますでしょうか…?若し無ければリクをしたいのですが… (2020年7月28日 14時) (レス) id: a9a289fd68 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らしろ | 作成日時:2020年3月16日 21時