漆黒の狗は黒の時代でも困っていたそうです5【文スト】【芥川成り代わり】

第百六十三話『重ナッタ影』 ページ6

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次の日
外は雨が降っており､気分が憂鬱だ｡




森｢真顔だよ､Aちゃん｡ほら笑って｣



『芥川です』



森｢そんな声低くしないで可愛い声を出してよ､Aちゃん｣



『芥川です』




不機嫌そうな顔の芥川､楽しそうな顔の森




中｢おっ､芥川じゃねェか体調は大丈……って首領！？｣



『中原さん｡お陰様で元気です』



中｢お､おぉう｡えっ何で首領と芥川が……｣



森｢少し太宰君から彼女を借りているんだよ｡ねぇ､Aちゃん｣



『芥川です』




森と芥川が並んで歩いているのはとても異様で中也は信じられないものを見たと口を開けてポカーンと見る




中｢あっ､だから……｣



『……？如何したんですか』



中｢いやァ､彼奴も自業自得だと思ってな｣




首を傾げる芥川を見て､中也は上機嫌になり頭を下げて行ってしまった




『若しかして太宰さんのことですかね』



森｢少なからずそうだろう｡ほら彼処の部屋だよ｣




少し大きめの扉
そこを開ければたくさんの本が並んでいる豪華な部屋だった




森｢昔､太宰君もよく利用していた部屋だよ｡私は今から会議だから終わるまで此処で本を読んでなさい｣



『……はい』



森｢それじゃあ､いい子にね｣




森は芥川の頭を撫で､扉を閉め､残された芥川は辺りを見回す




『……本か』




気になる本は片っ端から読むほど本は前世でも好きだった｡
論文や携帯小説､詩集や人生論等ジャンルは様々




『端から順に読むか』




梯子を遣い一番上の一番端の本を手に取る
近くにあった椅子に座りページを捲る




『(アモントンの法則？……中々面白そうだな)』




一度ハマると目が離せない
時間を忘れて読み進めた




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森｢済まない､芥川君｡会議が思っていたより長引いてしまってね｡全く……三時間も会議だなんて肩が……え？｣




森は驚き目を見開いた
芥川は森が来たことに気づいておらず､黙々と本を読んでいた
それより驚いたのは､芥川の周りには大量の本の山｡巨大な本棚一個分の本が全て抜き出されていた




森｢あ､芥川くーん？大丈夫かい？若しかしてずっと本を読んでいたのかい？｣



『……そう､か……だから此奴はこの部屋の鍵を掛ける事ができたのか……しかし僕ならば……』



森｢うーん､これは参ったね｣




苦笑いをしながら頬を掻く
本を読んでいる芥川が一瞬だけ､昔の太宰と重なった気がした


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