漆黒の狗は原作と違う為困っているそうです2【文スト】【芥川成り代わり】 (ページ9)

今日:4 hit、昨日:115 hit、合計:497,053 hit

第四十九話『人ノ話ヲ聞ケ』ページ9

『む､やっと来た』

ナオミ達の後ろから走ってくる太宰を視認し､ホッと胸を撫で下ろす

『さて人虎｡これで終わりだ､今度は白鯨で闘うことになるだ((敦｢ああああああああぁぁぁ!!!｣……ッ!?』

虎の爪で羅生門を引き裂き芥川に襲い掛かる敦
芥川は咄嗟に羅生門を展開させるがそれも引き裂かれてしまう

『ぐっ!?ゲホッ!!』

敦｢お前を!お前を……倒せばッ!!｣

敦が芥川を押し倒し馬乗りになって首を絞める

『黙れ!!ゲホッ､僕を倒すだと!?巫山戯るな!お前は既に僕の((太｢芥川君!｣……ッ』

太｢止めるんだ敦君!良く見ろ!｣

敦｢え……?｣

敦の手が緩んだ｡芥川は咄嗟に敦を押し倒し距離を取った

敦｢あれ……僕は､何を……何で芥川を?ただ……僕は………………やめろ!やめろぉぉおォォッ!｣

敦は片手で頭を押さえ､もう片方の腕で柱を次々に壊す

敦｢僕は違う!僕はただ……芥川を……!｣

『(僕……を?)』

太宰がベンチ下の人形に気付き持ち上げた
不気味な笑い声と共に人形は砂のように消えた

久｢太宰さんの新しいお友達､ずいぶん壊れやすいんだね｡けどいいんだ太宰さんを壊す楽しみが残ってるもの☆｣

太｢それはおめでとう｣

ニコリと笑う久作と対照的に太宰は黒い瞳を久作に向け殺気を放つ

久｢僕を閉じ込めたお礼にいっぱい苦しめて壊してあげるね｣

太｢善く憶えているよ｡君ひとり封印する為に大勢死んだ｡けど次は封印などしない｡心臓を刳り貫く｣

久｢ふふふ､また遊ぼうね太宰さん☆｣

『……ッ』

芥川は羅生門を遣って素早く列車に乗り込む
バタンっと扉が締まり列車は静かに走っていった

『ゲホッ……久作､あまり太宰さんを煽るな』

久｢太宰さんさ､Aの顔を見て凄く焦ってたよ?あんな顔初めてみたかも!｣

『人の話を聞け』

他人の云う事を聞かない人が多いのか｡芥川は黒い外套を脱ぎながら溜息を吐く

久｢それにしてもシャツに血が染みてる……大丈夫?｣

『心配するな｡そこら辺の奴らと違って体は丈夫な方だゴホッゴホッ』

久｢……説得力無いよ?｣

黙れと一喝し､椅子に座る
久作も向かい側の椅子に座り､外を見つめ目をキラキラとさせた

『(しかし……敦はあの時､何を云おうとしたんだ?)』

────僕は違う!……僕はただ……芥川を……!

久｢見て､A!海､綺麗だね!｣

『ああ､綺麗だが……好まん』

俯きながら寂しそうに呟いたのだった

.